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IQの高いお子さんがいたら?ドイツにある学校(Hochbegabtenschule)のお話。

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IQの高いお子さんがいたら?ドイツにある学校(Hochbegabtenschule)のお話。

今年は11月も半ばというのに、暖かい日々が続くドイツ。

コロナのおかげで、今年はクリスマスマーケットも、コンサートも全て中止になり、いつもとはなんだか違う冬を迎えそうです。

さて。

唐突で申し訳ないですが、私は昔からどういった環境や教育で、人は一番良い成長をするのか」ということに興味がありました。

「人の成長」という意味では、コーチングや願望達成などの自分を磨く道に出会い、自己啓発の世界にのめりこみました。

娘が生まれてからは、今なお現在進行形で

  • 子どもが持つ個性を一番伸ばせる環境は、どういったものなのか
  • 子どもが持つ個性を上手く伸ばせる環境を整えたら、どういった成長をするのか
  • 個性を上手く伸ばせて成長した子どもは、どういった大人になるのか

ということを、ある意味、娘自身の成長をそばで見守りながら、この15年間研究・実践し続けています。

母である私が、そんなスタンスでいるからかわかりませんが、娘15歳も「自己成長(自己啓発)」の分野は、私以上に興味があるようで、明らかに頭の良い同い年くらいのティーンに会った後、自分でちょっと調べた話をしてくれました。

ちょっと自己成長の話と、IQの高いティーンの話だと話がずれるかもしれませんが。

IQの高いティーンの子どもたちが通う学校があった。

娘が調べた、と言ってもドイツの教育TV番組(Galileo)やその他チャンネルからのお話です。

該当番組GalileoのYouTubeのコメント欄を見ると、賛否両論あるようですので、ドイツ語の分かる方はご自身で判断してくださいね。

一般的にドイツ語では「IQが高い」と言う表現ではなく、「Hochbegabung」(才能のある)という表現をします。

この回で紹介されている学校(Hochbegabtenschule)は、ザクセン州の州都ドレスデンから北西に80kmほどにある、SanktAfraというギムナジウム(Gymnasium/つまり5-12年生)です。Internat(インターナート)でもあるので、寄宿学校でもあります。

個人的に驚いたのは、Privatschule(私立学校)かと思ったら、学校そのものにはお金がかからないそうです。

なんと各家庭の負担は、宿泊施設と食費代で月400€。

これを高いか安いかと思うかは各家庭の判断によりますが、個人的にはこれだけの施設で環境が整っている寄宿学校でもあれば、ゆうに月2000-3000€位になるので、かなり安いと感じました。

また、教師陣もHochbegarbである必要がないとのこと。

実際の授業内容がどんなものかはわかりませんが、州が提示している学校カリキュラムに沿って学習が進められているようです。

IQテストは一応するけれども、その点数だけにこだわることはなく、個人個人の才能ある分野を伸ばしつつ(ロボット制作等)、多目的に活動できるアクティビティ(演劇や音楽)もあり、社会性も同時に学べるようになっています。

最終的には、大学入学資格試験のAbitur(アビトゥーア)を受けて、そこで本人たちの才能を測るそうですが、ザクセン州ではこの学校の生徒が一番Abiturの成績が良いそうです。まぁ、納得ですが。

IQの高い子どもたちが抱えていた問題とは。

そんな begabte Jugendliche(才能のある若者たち)が、共通で抱えている(いた)問題がありました。

  • 普通の学校では、授業内容が簡単すぎて物足りない。
  • 教科書や本は、一度読んだら覚えてしまうが、普通の学校では何度も行う。
  • 普通のクラスにいると、頭が良すぎるので、他の子どもたちからイジメられる。
  • 普通の学校が退屈になり、信頼できる先生や友だちができにくい。
  • イジメ・嫉妬・仲間外れを避けるために、頭の良さを隠す必要が出てくる。
  • ある分野だけに突出した才能があるけれど、その他の分野では年齢相応の場合もある。
  • IQは高いが、自閉症でもある。(参考動画)

番組の中では、数人の子どもたちだけが登場しますが、

普通の学校にいた頃は「勉強したい」という欲求に対して、周りのペースが遅いので最初は戸惑ったこともあったそうです。

親にとっては、自分の子どもが「まさか」という場合もあるかもしれません。

そういった場合、親自身に何の情報もアイディアもなかったら、子どものフラストレーションの対処に困難を極めるかもしれません。

また、親自身が忙しい、または子どもの教育に興味がない場合は、そもそも情報を得ようとしたり、関係機関に相談するなどできないかもしれません。

そんなことを思いながら、IQが高いが故に学校が退屈すぎていた彼ら彼女たちが、この学校に通うことができて幸せそうな感じだし、なんだか他人の子どもながら、良かったなぁとしみじみと思いました。

IQの高さだけにフォーカスする危険性。

両親によっては、自分の子どものIQが高いが故に普通の学校でイジメられたり、転校したものの合う学校がなかったり、といった理由で、ホームスクーリングをする家庭もあるかもしれません。

あるイギリスのご夫婦は、イギリスの学校制度に納得がいかない理由と、上記理由を含め、両親揃って賢い一人娘のためにとホームスクーリングをしていました。(参考動画)

ですが、この動画に出てくるお子さんは、同年代の子どもたちと会って遊ぶ機会がありません。お友だちもいないようでした。

専門家の見解では、同年代の子どもたちとの関係性を学ぶ機会がなければ「社会性」が育たず、十代の多感な時期や大人になってから、問題が起こる可能性が充分にある、ということでした。

退屈なら退屈な環境でどうしたらよいか、という自分自身で問題を解決する能力を育むチャンスを奪っている、と。

個人的には、問題解決能力もそうですが、それ以上に「社会性」が育たないのが、一番怖いことかなと思います。

子どもが成長する上でも、大人になって社会に出たときにも、必ず人と関わりますよね。

その後、仮に子どもが子ども(親からみたら自分の孫)を産んだら、子どもが母や父になって子育てをしますよね。

子育てって、もう一度幼少期の自分を再体験することが自動的に行われると思うのですが、成人するまでに「社会性」や「人間関係」を学ぶ経験が乏しかった場合、社会に出てからや、子育てをいざする段階で、どういったことが起こり得るだろうか、まで考えてしまうと、個人的には怖いなと思います。

そういえば、余談で申し訳ないですが、ドイツではホームスクーリングは法律で禁止されています。

以前住んでいた州(BW州)では、こっそりホームスクーリングをしているドイツ人親子に2組出会ったことがありましたが。

各家庭において、様々なご事情があるかとは思いますが、ドイツにおいては外国人である私の目から見ても、学校に関しては様々な選択肢があるので、リサーチ不足なのではないか、と本気で思います。

いや、そもそも「禁止」だし・・。

最後に。

いやはやいろんな子育てがありますが、どこの国に住んでいようが、子育てに正解はありませんよね。

ですが、何事もバランスが大切だな、とつくづく思います。

  • 勉強ができることだけが良いのか?
  • 社会性を育てることだけが良いのか?
  • スポーツ嫌いにスポーツをさせるべきなのか?
  • 大枚はたいて、芸術性や創造性を磨くよう努力するべきなのか?

今まで日々、娘を観察しながら、娘と対話しながら、トライ&エラーを繰り返してきた私。

ドイツに移住してきて9年目ですが、子育てに関しては「後悔半分・達成感半分」といった感じです。

ちなみに、お子さんが何かの分野においてずば抜けた才能があるようであれば、その才能を伸ばせる環境を用意してあげられると良いですよね。

IQの高いお子さんであれば、以下の検索ワードで探してみてください。

  • Hochbegabtenschule 〇〇(地名または州名)
  • Hochbegabtenklassen 〇〇(地名またはGymnasium,Realschule)

バイエルン州であれば、こちらのサイトが役に立つかもしれません。

参考になれば嬉しいです。

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