
(2019年のミュンヘンのクリスマスマーケットを前にする新市庁舎。)
12月16日から、再ロックダウンになったドイツ。
今年の3月から5月初頭にかけてと同様、生活必需品以外のお店が閉鎖になりました。
カフェやレストランはテイクアウトのみ、銀行・薬局・郵便局などは営業しています。
本来なら、クリスマス1週間前はもうすぐ来るクリスマスのために、買い物客で街はにぎわう時。
各地のクリスマスマーケットも毎日キラキラしていて、観光客も増える時。
けれど、今年は静かです。
クリスマスマーケットもなし。
いつものクリスマスとは全く違います。
こんな12月も良いんじゃないの。
生きてる間にこんな静かな12月を経験できたことは(それもヨーロッパで)、
後世の孫やひ孫たちに「いかに当たり前なことが幸せなことなのか」ということを伝えてやろう、と目論んでいます。
では、さっそく本題です。
ロックダウン直前。とある店舗で見たお客に衝撃を受ける。
そんな明日からドイツ全土の店舗が閉鎖になるという、12月15日。
クリスマスギフトの買い忘れや、今年最後の店舗での買い物をしようと思う人も多くいたよう。
そんな中ふと立ち寄った店舗で、かけこみ買付けらしき中国のバイヤー(お客?)さんをお見かけしました。
彼女は、入り口から入るなり大きな声で遠くにいる店員さんに英語で話しかけます。
その時点で、結構ドン引きだった私。
彼女はその後、値段も品質も良い商品をいくつか雑にわしづかみにして、レジに持って行ったかと思ったら、
「私はこれとこれを買うわ。あと、この商品Lサイズはないの?」
と言いながら、スマホ片手に大きな声で中国語で誰かと話しています。
そして、そのおしゃべりの間に、店員さんに向かって
「あ、それから私、現金で払うから」
と、矢継ぎ早にまくしたてます。
その1分ほどの間に、目まぐるしく、やかましく騒ぎ立てる彼女を相手に、店員さんは
「OK、あなたの希望のサイズを探して来ますし、商品を綺麗に包装するから、ちょっと待っていてくださいね」
と、3回言っていました。
面白いことに、その冷静さと言ったら神がかっています。(すごいな。慣れているのか?)
でもスマホでおしゃべりをしている彼女は、その店員さんの話を聞いておらず
「Huh?」(え?)
と聞き返すわけです。
ちなみに、超カジュアルな聞き返しなので、ビジネスシーンでは普通は使いませんよね。
顔見知りでよく知っているバイヤー(お客?)さんで、店員さんとも仲良しなのかもしれませんが、それでも相手はお仕事で関わっている方(のはず)。
仕事でも買い物でも、相手に「Huh?」と聞き返す時点で、個人的にはこの人のマナーの悪さに怒りさえ覚えました。
そもそも入口から入ってきた途端、周りの来店客のことも考えずに大声で我が道を行く時点で、すでにアウトですが。
ロックダウン直前の15歳のマナーレッスン。
この一連のできごとを、実は同行していた娘15歳は、静かに私のそばで一緒に観察していました。
ちなみに私は、ハイブランドしか入っていないデパートに娘と一緒に行って、ブランド店を渡り歩きながら、来店するお客さんの身なりや身のこなし方、話し方、店員さんの対応について観察しに行くことを、たまにします。
それはひとえに、ドイツ社会で生き抜くために、ひいては世界に通用する人材になるために、欧州に住む人たちの身のこなし方、マナーを体験から学んでほしいからです。そして、欧州に来る世界各国の人たちのマナーも知ることができるからです。
コロナ前は、世界中から来る富裕層の観光客や買い物客が、ハイブランドデパートに来店していて、様々なお客さんたちを観察するのが結構面白かったですが、コロナ後は、基本的にミュンヘン及び近郊に住む富裕層がほとんどです。(ちなみにじーっと観察はしませんよ、もちろん)
ただ、ドイツ人だけではないので、その方々のバックグラウンドにある価値観なんかを想像することもできたりして、それはそれで結構面白かったりします。
話がそれましたが、15歳にもなると親があーだこーだ説明したところで、「腑に落ちない=耳を貸さない」ことも多くなってくるので、「百聞は一見に如かず」。
本人の目で見て経験した後で、私とあれこれと考えたこと、思ったことを話し合ったりします。
そんな娘にとって、この一連のできごとでの彼女の態度の悪さは相当ショックだったそうで。笑
「開いた口がふさがらない」みたいな感じでした。(schockieren・・と何度かつぶやいていた)
よし。
ママの思惑通りです。
良い例があれば、悪い例もある。
その両方を見る(経験する)ことができて、初めて自分自身の結論を導き出せる。
これは、「自分を知る」上でも非常に重要だと思っています。
特にドイツは(ドイツも?)「個」の意見を持つことは大切ですからね。(その意見が、正しいか正しくないかはどうでも良い)
あれこれとママとアウトプットすることで、自分がどう感じてどう考えたかということを、言葉にする練習ができるわけです。
最後に
ロックダウン直前に、たまたま経験できた「マナー」に関するレッスン。
ドイツにいると様々な人種が混在しておりますので、日常のあらゆるところで「マナー」に関してのその人の「当たり前」に遭遇することがありますよね。
仲良しの中国人の友人に、上記のような経験を話したら
「マナーについての教育を家庭でされていなければ、本人たちは自分たちのマナーについて考えもしないし、それについて気づきもしないと思うよ」
と。
ごもっとも。
まさに「教育は家庭から」ですね。
今回出会った彼女には「個」を尊重しつつ、「和」の協調ができるようなマナーを身に着けてほしいなと切に願います。
ティーンの娘への良いレッスンをありがとう。感謝。
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