ドイツへ母子移住した約3か月後、9月の新学年スタートに合わせて
当時7歳だった娘は、Freie Waldorfschule(シュタイナー学校)へ入学することになりました。
シュタイナー学校へ決めた理由は、元夫や元家族全員がシュタイナー教育に関わった・現在も関わっているためです。
初めて耳にする方へざっくり説明しますね。
ドイツから始まったシュタイナー学校は、オーストリア人の哲学者・神秘思想家のルドルフ・シュタイナー氏が、1919年にドイツ南西部シュツットガルトに初めてシュタイナー学校を開校したのが始まりです。現在は、世界中にシュタイナー学校があります。
「シュタイナー教育法について」
シュタイナー教育の目指すものは、宇宙にある諸事物の理念を、人間と結びつけて理解し、それによりミクロコスモスとしての子供自身(人間)を活き活きとした理念で満たすことである。その手法として、芸術が重要視される。オイリュトミー、フォルメンのほかに、造形絵画、童話、物語、詩、演劇、合唱、器楽演奏など幅広い芸術教育が行われる。シュタイナーは、芸術活動における記憶とが、人間の生命発展力につながる点を強調している。
(引用元:wikipedia)
上記の簡易説明からでもわかるように、芸術性のある深い教育思想・理念を持った、独特の教育方法です。
日本にもいくつかシュタイナー学校やシュタイナー幼稚園があります。
当時、とても興味の湧いた教育方法だったので、日本語の本をドイツに取り寄せて読み、日本滞在5年の間にも本や特集雑誌を読み漁って情報収集しました。日本ではシュタイナー教育のプレイグループにも参加していたので、ある程度の知識や経験がありましたので、特に違和感なくシュタイナー学校への入学を決めました。
ドイツの入学適正検査(Einschulungsuntersuchung)とは?
ドイツの小学校へ入学するのであれば、小児科医の先生が「こどもの心と体の発達が学業を始めるに適しているかどうか」を判断する「入学適正検査(Einschulungsuntersuchung)」というものを行います。
なぜなら、心と体の発達バランスがまだ整っていない場合は、小学校へ入学しても子ども本人に負担がかかるからです。それを避けるために、小児科医は子どもの発達段階を判断します。
余談ですが、5-7歳の子どもの成長段階、発達段階には大きく個人差があるので、ドイツでは小学生でも「留年・飛び級」は普通に起こります。
小児科医の先生との適正検査は、主に以下のとおりです。
- 平均感覚テスト(平均台の上を実際に歩いた)
- 大きいボールでのキャッチボールテスト
- 片足で立ってみたりといったバランス感覚テスト
- 簡単な視覚テスト(もあった気がする)
上記に加えて、娘の場合はドイツのシュタイナー幼稚園に数週間通っていたものの、ドイツ語力がほぼゼロだったため、ドイツ語の発音や挨拶などを復唱して言えるかを、簡単に行いました。恐らくですが以下2点を診ていたのかなと思います。
- 知力
- 聴覚
上記は、恐らくドイツの公立小学校でも同じ内容かと思います。(州によっては、上記がない場合もあるかもしれません)
ちなみに、娘の場合は日本ではすでに公立小学校の2年生。
運動能力・平均感覚・視覚・聴覚共に全てまったく問題がなかったです。
健康面の問診だと以下の3つを記憶しています。
- 予防注射の有無と種類
- アレルギーの有無
- 大きなケガや手術の有無
※持参したドイツの母子手帳(Mutterpass)と、ドイツの子ども手帳(Kinderuntersuchungsheft)にも目を通していました。
※子ども手帳(という表現で正しいかは不明)は、子どもの発達段階に沿った健康診断結果が記載されています。
※余談ですが、娘はドイツ生まれです。
そして上記とは別に、シュタイナー学校独特の興味深い対話がありましたので、続けて解説していきます。
シュタイナー学校の入学適正検査
実は、この入学適正検査のアポ前に、小児科医の先生に事前に提出しておかなければいけない「あるモノ」がありました。
何だと思います?
それは・・
「子どものBIOGRAPHY(伝記)」。(+親子写真)
簡潔に言うと、小児科医の先生は、子どもが出生時から今まで
「どのような環境下で」「どのように成長し発育してきたか」
ということの情報を判断材料として必要としていました。
具体的に言うと、以下の通りです。
- 出生時の様子(分娩の種類や様子など)
- 新生児期の発育状況(かかった病気や母乳か粉ミルクかなど含む)
- 乳幼児期の発育状況(かかった病気や寝返り・ハイハイ・つかまり立ちの時期など含む)
- 幼児期の発育状況(かかった病気やケガ、言葉の発達・食事・保育園の様子など含む)
- 学童期の発育状況(かかった病気やケガ、日本の学校での様子など含む)
この具体的な内容について、娘が生まれてからの7年間が走馬灯のように駆け抜けたのを覚えています。
幸い、7年間の過去の手記や、現在は公開していないブログ内容があったので、google翻訳を駆使して時系列にして一気に書きました。事前にそれに目を通していた小児科医の先生からは、当日いくつか質問がありました。
特に印象に残っている質問として、以下があげられます。
- 日本の保育園での滞在時間数(朝8時半から夜6時までというのに、ものすごく驚かれた)
- 日本の保育園での過ごし方(クラスの子どもの人数や生活リズムなど。単純に興味があったのかもしれないが)
- 日本の公立小学校での滞在時間数(1年生から段階的に午後3時まで滞在することに、驚かれた)
- 日本の公立小学校での時間割
- 放課後を過ごす学童クラブについて(1年生から夜6時まで滞在というのに、また驚かれた)
- 家庭内にテレビがあるか。あるなら毎日の生活にどの程度使用されているか。
- 家庭内での電子機器(スマホやPC)の使用頻度
- 家庭内での遊びについて(おもちゃの種類や素材など)
特に、テレビやデジタル機器については、シュタイナー教育では敏感です。
入学してから分かりますが、教育上家庭内にテレビを置いていないドイツ人家庭はクラスに一定数いました。
我が家も最初の数年はテレビを持っていませんでした。
また、普段遊ぶおもちゃについては、シュタイナー教育が自然素材のみを使用しているので、木製・木綿・シルク・フェルト・ウールなどの肌ざわりの良いものを推奨しています。
ある程度こどもが成長してくると分かるかと思いますが、このあたりを徹底していると、嗅覚や触感が鋭くなっていて違いがわかるようになる気がします。
ただ、プラスチック製の代表的なおもちゃであるレゴなど、優秀なおもちゃもあるので一にも二にも「こどもをじっくり観察して個性を見極めること」が一番重要かと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ドイツでの小学校入学適正検査は、あるなし含めて、州によって違うかもしれません。
ただ一つ言えるのは、娘も私もドイツ語能力がほぼゼロに近い状態にも関わらず、ここまでじっくりと一人のこどもに1時間以上をかけて適性検査をしてくれるシステムに、感動を覚えました。
小学校選びは、その後の学校生活・友だち関係・ママ友づくりに大きく影響してきます。
そういった意味でも、入学時の年齢も上記に左右すると思いますので、是非今回の記事を参考にしていただけたら嬉しいです。