
※2023.10.29の音声配信要約記事です。
ドイツでは本日からウィンタータイム(冬時間)になり、日本との時差が-8時間になりました。
ドイツに長く住んでいると、10月の終わりに冬時間へ、3月の終わりに夏時間へと切り替わるのが当たり前になります。私自身、ドイツに10年以上住んでいますが、最初の数年はこの時間の変化が不思議に感じました。ただ、子育てや仕事が忙しかったこともあり、それほど気にすることなく過ごしていました。
しかし、ここ数年は生活が落ち着き、体もすっかりドイツの生活に慣れたせいか、冬時間や夏時間への切り替えが少し大変に感じるようになりました。特に、切り替え直後の1週間ほどは「時差ボケ」のような感覚になります。例えば、昼の12時が夏時間だったら本来13時なので、食事の時間や体のリズムを少しずつ調整していく必要があります。
夜の寝つきが悪くなったり、朝起きるのが大変になったりする方も多いのではないでしょうか?同じように感じる方がいたら、ぜひ教えてください。
冬時間と夏時間の歴史
そもそも、ウィンタータイム(冬時間)が通常の標準時間で日本との時差は-8時間。サマータイム(夏時間)は3月末に導入され、日本との時差は-7時間になります。
サマータイムは、1916年に第一次世界大戦中に初めて導入されました。その目的はエネルギーの節約です。1956年にも再導入されましたが、その後、1942年に一時中断。戦時中の混乱もあり、1945年の終戦後に再開されました。
しかし、1949年にはサマータイムが廃止され、1950年から1979年の間はなんとドイツでは夏時間が存在しませんでした。その後、1973年のオイルショックをきっかけにエネルギー政策の一環として再導入が決まり、1980年から現在まで続いています。
サマータイムの影響とEUの動き
サマータイムがあることで、体内時計への影響が懸念されています。特に高齢者の方々は、サマータイムがあったりなかったりを繰り返してきたため、その負担は相当なものだったでしょう。
EUの調査によると、約85%の人々がサマータイムの廃止を望んでいるそうです。特に、睡眠の質が低下しやすい女性にとって、寝つきが悪くなったり、逆に眠り続けるのが難しくなったりする問題があるとのこと。医学的な見解では、体が完全に適応するまでに1〜2週間かかると言われています。
こうした背景から、2018年にEUはサマータイムの廃止を決定しました。しかし、欧州各国が全会一致で合意に至らず、現在も廃止の実施は保留されたままです。
サマータイムのエネルギー節約効果は?
本来、サマータイムの目的はエネルギー節約でした。しかし、近年の調査では、実際の節約効果はあまり見られないことが分かっています。
また、冬時間の開始により日没が早くなり、通勤・帰宅時間と重なるため、道路のラッシュアワーの時間帯が変化します。特に郊外では、暗くなる時間が早まることで、野生動物との衝突事故が増えるという指摘もあります。
冬時間が始まると気をつけること
冬時間に入ると、野生動物の行動パターンと人間の生活リズムがずれることに注意が必要です。野生動物は時計を持っていません。彼らの体内時計は変わらず、朝7〜9時、夕方6〜9時の間に活動が活発になります。
例えば、郊外を車で走る際、視界が悪くなる冬時間では、動物が突然飛び出してくるリスクが高まります。速度を時速100kmから80kmに抑えるだけで、制動距離が約24m短縮されると言われています。車での移動が多い方は、特に冬時間開始後は注意して運転したいですね。
まとめ
今回は、ドイツの冬時間と夏時間についてお話ししました。体内リズムの調整や、運転時の注意点など、冬時間に向けての対策を意識すると、より快適に過ごせるかもしれません。
詳しくは是非ラジオの方をお聞きくださいね。
◇Spotify Podcast (Sunny's Garden ドイツの日常ラジオ)
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