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#60🇩🇪ドイツで個人事業主の私がパート勤務で得た学び(Podcast要約記事)

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#60🇩🇪ドイツで個人事業主の私がパート勤務で得た学び(Podcast要約記事)

画像はイメージです

※2023.9.17の音声配信の要約記事です。

今回はここ数ヶ月していたパートのお仕事を通して、成長させられる気づきがあったので、サクッとシェアしたいと思います。

あくまでも、一個人事業主目線で、自分への戒めとして気づいた点の備忘録ですので、ご理解いただけると嬉しいです。

そもそもなぜパートの仕事をしようと思ったのか?

この一年ほど、子育ての手が少しずつ離れ、以前よりも自由な時間が増えました。そのため、人脈を広げたり情報収集をしたりする目的で、ドイツのローカルコミュニティとつながりたいと考えていました。

私は個人事業主として輸出業を営んでおり、基本的に自宅で仕事をしています。業務の一部は外注していますが、個人事業主特有の悩みとして、仕事がある程度軌道に乗ると、拡大や進化をしない限り環境に変化がなくなります。最悪、停滞感から気持ちが落ち込むこともあります。

また、子育ての卒業が近づくにつれ、自分の今後の働き方や生き方について考える機会が増えてきました。

ローカルの人々とつながる方法は他にもあるかもしれませんが、長年企業で働いていなかったため、将来日本やドイツで法人を設立した際に現地の労働環境を知ることが役立つのではないかとも思いました。実際に働いてみないと、従業員の気持ちはわからないものです。

さらに、副収入を得ながらドイツ語の会話練習もできるという点に魅力を感じ、パートを始めることにしました。

ローカルショップの職場環境は?

私が働いたのは、オーガニック関連の商品を扱う小売店で、デザイナー家具を使ったおしゃれな店内には小さなベーカリーとカフェが併設されていました。商品にはニッチなものも多く、他店との差別化が図られており、すでにコアなリピーターを獲得している印象でした。

職場の共通言語は英語で、同僚や上司はドイツ生活が1年から数年の人が多く、オーナーだけが私と同じく10年以上ドイツに住んでいるという環境でした。全員が異なる国からの移住者で、まさにインターナショナルな職場でした。

私は日常会話レベルの英語とドイツ語が話せるため、フロント業務を任され、ベーカリー、カフェ、ランチ、レジ業務を数週間で覚える必要がありました。最初はぎこちなく、ドイツ語や英語の聞き取りが完璧でないこともありましたが、ドイツ語が堪能な若い同僚に助けられながら徐々に慣れていきました。

事業撤退の決断。その原因は何だったのか?

このショップは、独自のビジョンを持ち、共感してくださるリピーターのお客様もいたのに、なぜ事業撤退を決断することになったのか。

コアなリピーターがいるにもかかわらず、オーナーは事業撤退を決断しました。私はパート従業員だったため、資金の流れや経営状況の詳細は知りませんが、働く中で「このままでは厳しいだろう」と思う点はいくつかありました。

問題の根本は、ビジネスの設計がしっかりしておらず、経営者の方向性が曖昧だったことです。オーナーとマネージャー夫婦は、明確な目標を持たず、その日の気分で意思決定をしていました。計画性がなく、データを取る習慣もなかったため、何が成功し何が失敗したのかを分析できていませんでした。

特にマネージャー夫婦の管理方法には問題がありました。細かい指示を出しすぎて従業員を信用できず、業務を任せることができなかったため、スタッフが成長する機会を奪っていました。その上、シフトの告知が前日の夜や当日の朝に行われるなど、従業員の生活を考慮しない運営が続きました。

また、従業員の一人にマネージャー家族の一員がいたのですが、仕事に対して消極的で、キレやすい性格だったため、職場の雰囲気も悪くなりがちでした。

さらに、夏にはオーナーやマネージャー夫婦が2〜3週間のバケーションを取り、現場を無計画に放置することもありました。その結果、常に人手不足で、営業時間を短縮せざるを得ない日もありました。お客様がコーヒーを楽しみに訪れても、閉店時間前にカフェが閉鎖されるなど、サービスの質が低下し、少しずつ顧客の信頼を失っていきました。

そして決定的だったのは、毎日のレジ閉めの際に、マネージャーがチップをすべて自分のポケットに入れていたことです。こうした行動からも、経営者として従業員から信頼を得るのは難しいと感じました。

結果、お金の循環が生まれる一番大切なところに目が行かなくなる

夢と理想を持ってお金をかけて始めた事業は、コアなリピーターを抱える素敵な空間でした。

お客様と話すたびに、この店の魅力を感じている人が多いことが伝わってきました。

しかし、経営者がビジョンを明確に持たず、従業員の働きやすさを考えない運営を続けた結果、事業は継続できなくなりました。

店舗の撤退を告げる際、多くのお客様が残念がる姿を目の当たりにし、私も無力感を覚えました。

最も残念だったのは、オーナーやマネージャー夫婦が撤退決定後も店舗に常駐せず、顧客に対して誠実な対応をしなかったことです。お金の循環を産んでくれる一番大切なお客様を大切にするという、当たり前のことができていない状況で、せめてオーナーやマネージャーたちには、撤退までの1ヶ月間は、毎日開店から閉店まできちっと店舗にいて、来店される一人一人のお客様に真摯に誠実に感謝を込めて対応していただきたかったんですよね。本当、私の店でもないけど、なんだかひどく不甲斐なさを感じました。

お客様を最後まで大切にできなかったマネージャー(特に旦那さんの方)は、最終日、従業員に対して挨拶くらいあるかと期待していたのですが、「今まで仕事してくれてありがとう」もなければ「申し訳なかった」と言った言葉もなく、いつものように閉店時間と同時に早く帰りたいがために(マネージャーは夫婦なので奥さんも店にいるし、何なら子供達も店に来ていたのに)、残念ながら「さぁ、帰るよ!早く早く!」とまくしたてていました。お客様も従業員も大切できないなんて、商売をする資格はないですよね。

最後に

商売って、シンプルに言えば、お客様のニーズをキャッチして、愚直にそれにお応えして、提供して、喜んでもらうことだと思うんですね。

喜んでもらったら、お金の循環が生まれて、また新しいお客様を連れて来てくださる。

それには、数字の管理もさることながら、経営側の勤勉さや努力、誠実さが不可欠だと思うんです。

もちろん全てのお客様のニーズにおこたえできるわけではありませんが、一つ一つの意見は真摯に受け止め、改善に繋げられると思うのです。

そして今回、自分が従業員側になって、忘れていた従業員マインドを思い出し、経営側に立つ以上、お客様を大切にするのと同じように、従業員を大切にすることは改めて重要だなと思いました。国際色の強い職場だと、各国特有の考え方や、コミュニケーションの取り方の違いもあるし、自分の当たり前が、相手にとっては当たり前でないことも大いにありますもんね。

お店の今後については、多くのお客様からご質問がありましたが、オーナーもマネージャーたちも完全撤退を決めていました。

再始動もないようで、それぞれがそれぞれの道を行くとのことでした。

私にとっては、深い学びのあったパート勤務。

他人は自分を映し出す鏡として、今までとこれからの自分のあり方について、見つめ直すきっかけにもなりました。

本当に感謝です。この経験を今後に充分活かしていけるよう、粛々と精進していきたいと思います。

どなたかのご参考になれば、嬉しいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた。tüssch

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