
「一人の人間として大切に接すると言うことを大切にする」
97歳の現役保育士、大川繁子さんの言葉です。
栃木県足利市で「小俣幼児生活団」というモンテッソーリ教育とアドラー心理学の良いとこ取りをした認可保育園があるのを知ったのは、つい最近のことです。
たまたまYoutubeで見つけて動画も短かったので、流し聞きしていたら、小さな子どもには絶対に必要であろう環境・保育をしている保育園で、すぐに見入ってしまいました。
過去話ばかりして申し訳ないのですが(今だから書けるのです)、その昔子どもが2歳の頃、日本へ別居移住した私は、3歳から子どもを預けられる保育園を探しまくっていました。
当時から子どもの教育には猛烈な興味関心があったので、実家のある町にある保育園に全部(当時で5箇所)に見学へ行くことを決めていました。
市役所に提出する入園希望書期限が1月だったので、それまでに間に合うよう、9月から11月の間に行ったことを覚えています。
また、数時間でも預かり保育園がある園には、1週間ほど預けることもしました。
その中で、私が絶対に外せない条件がありました。
保育園探しで絶対に外せなかった条件があった
かくいう私も、3歳の頃から保育園に通っていました。小さな子どもの社会生活があり、良くも悪くも様々な思い出がありますが、それでも楽しかったのを覚えています。また、子どもが0-2歳までは、ドイツで子育てをしていたのと、元夫や親族全員がシュタイナー教育の環境で育っていましたので、子どもの感性や発達段階についても、ある程度本で勉強していた頃でした。
そんな私が、日本の保育園選びで絶対に外せなかった条件がありました。
- 園庭に植物が生えていること(木や花)
- 給食が手作りであること
- 昼寝があること
- 朝8時頃から開始で夜6時頃まで預かってくれること
- 1クラスが少人数制であること
- 保育士さんが子育て経験のあるベテラン先生が多いこと
- 季節の行事があること
- 自立を促す保育をしているか
・・・多いですね。笑
ただ、それぞれに理由がちゃんとあります。
園庭に植物が生えていること(木や花)
私が子どもの頃、園庭に生えているたんぽぽや草花を集め、木に咲く花の香りを楽しんだり、小鳥や虫を観察していた記憶があるので、得に小さい頃の子どもの五感を育てるには、絶対に必要条件でした。四季を感じる感覚を育てることにも役立つし、生態系を感覚的に学べるので大事なことです。
これは、ビジネス思考の新しい保育園の園庭には、驚くことに、木は難しいにしても、草花はおろか花壇さえ置いていないところもありました。
給食が手作りであること
これも結構気の使うところでした。ただでさえ、日本は添加物が盛られた加工食品が多いので、給食やおやつはせめて給食センターから運ばれてくるものではなく、地元の食材を使って、その場で栄養士さんが作ってくれるところがいいなと思っていました。
これは幸いなことに田舎だったからか、どの保育園も園にキッチンが備え付けられていて、毎日栄養士さんが作ってくれる四季折々の多彩な食事を楽しめることができました。
ドイツの保育園なんて、ソーセージとパンだけ、とかですからね。それに比べたら毎日キッチンで作って温かい物を給食に出してくれる保育園がとても魅力でした。このおかげで、娘は日本での食事のバラエティを知ることができました。
昼寝があること
逆に昼寝がない園があるかは不明ですが、当時まだ3歳だったので昼寝が必要な時期で、どの保育園にも昼寝の時間がありました。
朝8時頃から開始で夜6時頃まで預かってくれること
これも働くママさん、パパさんにはありがたいですよね。幸いどの保育園も大体朝7時半〜18時半頃まで空いていました。延長保育がある園だと20時まで空いているところもありました。
1クラスが少人数制であること
これは、1人の先生が見られる子どもの数が国で定められているのですが、年齢に違いはあれど、大体最大15人ほどで先生が2-3人いると理想的だなと思っていました。小さな保育園、家庭的保育園ですと、この数字が叶うので、このあたりも重要視しました。ただ、これもビジネス思考保育園ですと、国の定める数ギリギリで行うので、3歳時クラスに20人も子どもがわちゃわちゃといるのに、若い先生が1-2人だけで保育しているのを見て、絶句したことがあります。
ちなみに、2024年から3歳児クラスは1人の先生につき20人だったものが15人に、4・5歳児クラスは30人だったものが25人に改定されたそうです。
保育士さんに子育て経験のあるベテラン先生が常駐していること
上記でも触れましたが、誤解を恐れずに言っても子育て経験のある先生、かつ保育士歴が15年以上ある先生が望ましいと兼ねてから思っていました。
保育士としても長い経験があると、それだけ子どもや親の様々なケースを把握しているので、安心して預けることができます。私の場合は、子どもが生まれる前にすでに母が他界していたので、日本の娘のおばあちゃん世代が身近にいませんでした。そのため、年配の先生が常駐しているかどうかも重要ポイントでした。
最終的に我が家が決めた保育園は、ベテラン先生8割、若い先生2割のところでした。
季節の行事があること
これは五感の発達にも関わってきますが、特に日本は四季折々の行事がありますよね。
例えば、4月:お花見、5月:子どもの日や母の日、6月:父の日や梅雨、7月:七夕やお祭り(プールも)、8月:花火、9月:運動会、10月:ハロウィン、11月:芋掘り、12月:クリスマス会のお遊戯、1月:お正月、2月:豆まき、3月:ひな祭りなどでしょうか。この他にも、親子遠足や、稲刈り、いちご狩り、みかん狩り、たけのこ掘りとかもありますね。子どもたちと一緒に、大根の季節には干し大根、柿の季節には干し柿にすることを取り入れている園もありました。
逆に、やりすぎなんじゃ?と先生たちのオーバーワークが心配になる程ですが、日本の盛りだくさんの保育園行事を経験できて感謝しています。
自立を促す保育をしているか
これは結構判断基準が難しいところなのですが、要は子どもの自主性をのばせるような仕組みが組み込まれているか、です。
簡単に言えば、例えば何か子ども自身が責任を持って行える当番制のお仕事(花の水やりや虫の世話など)があるか、とかです。
小俣幼児生活団は上記条件を満たしていた
冒頭の話に戻りますが、当時私が考えていた、子どもを通わせたい保育園の条件について、小俣幼児生活団はそのどれもを満たしていました。むしろ、それ以上に素晴らしい教育方針です。
私が今まで子どもに行ってきたような教育方針と同じようなものを感じたので、その後HPを確認したら、「モンテッソーリ教育」や「アドラー心理学」という単語が出てきたので、腑に落ちました。
そんなこちらの小俣保育園(幼児生活団)での特色は一体どんなものなのか気になりますよね?
以下が主な特色になります。
- 1日自由に過ごす
- 二歳児以降は、自分で食べたいものを食べたいだけ取るバイキング形式の昼食
- 叱ることはもちろん、褒めること(評価をくだす)はしない
- 園のルールは皆で話し合って、皆で決める
これは、ルールの中で育ってそれを良しとしている大人にとっては、不安になるかもしれませんよね。
特に、食べたいものだけ食べるとか、叱らない、褒めない、とか、1日自由とか・・。
でも、自由と責任って表裏一体なんですよね。これ、話飛びますけど、自営業も同じでしたから良くわかります。
自由というのは、自己責任の元で成り立っているのです。
また、大人からの評価が常習化すると、自己信頼(自信)や自立心が育たなくなります。
保育目標をいくつかご紹介すると
- 言葉がけは少なく先回りしない
- 五感を育て、豊かに
- 子どもをプラス面で理解する
- ゆっくり丁寧にやってみせる
- 自信につながる勇気づけの言葉
など、本当にその通りだなと思います。
子育て真っ只中で、毎日時間に追われていると、ここまで心の余裕が生まれてないご家庭も多いかもしれません。
特にシングルペアレント家庭には、難しいですよね。その気持ち、わかります。
ただ、子育ては長期プロジェクトです。
保育園に預けている間、これほど素晴らしい教育方針で育った子供たちは、家庭内での親の矛盾にもきちんと意見を述べてくれるようになります。
その度に、ハッとして自分を改めることになるのですが(過去の我が家)、そもそも子育て自体が、親として人として成長できる絶好の機会だと思います。
最後に。(動画一覧)
前回の投稿でも書きましたが、日本の大都市では、今や小学校受験もじわりじわりと広がりを見せているようですよね。そのため、すでに就学前から読み書き計算(+英語も)を教えるところもありますし、お行儀よくきちんと大人の言うことをできる教育をさせている受験塾もありますね。
家庭の教育方針はそれぞれですが、小俣保育園のような保育方針で育った園児たちは、少なからず自己決定権が自分にあり、自分のことに責任を持つことを学びます。健全な自己肯定感や自己信頼が育ち、社会性も身につくだろうなと思います。
それは、6歳で読み書き計算が完璧にできることよりも、その後の学校生活において個人の能力を伸ばし、社会生活を向上させる、とても重要なスキルになるのではないでしょうか。
ご興味のある方は是非ご覧になってみてくださいね。
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