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ドイツの私立学校。シュタイナーとモンテッソーリの大きな違い。(ざっくり)

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ドイツの私立学校。シュタイナーとモンテッソーリの大きな違い。(ざっくり)

私は、娘が2歳~7歳までの5年間、日本で母子家庭生活を送っていました。

その後、シングルマザーで再度ドイツに移住しました。

娘とドイツ移住したときはすでに娘の入学する学校が、「シュタイナー学校」と決まっていました。

それは、ドイツ人元夫がシュタイナー幼稚園(Waldorfkindergarten)から始まり、シュタイナー学校(Waldorfschule)を卒業し、元義両親含め一族皆が、シュタイナー教育一家であったため、自然とそういう流れになりました。

親戚が園長先生をしているシュタイナー幼稚園ともつながっていたので、入学式前の数か月は、ドイツ語とドイツの子どもたちに慣れるためという理由のみで、シュタイナー幼稚園に通わせてもらうこともできました。

別のサイトで綴っていましたが(今は非公開になっています)、シュタイナー学校へは1年生から5年生まで通い、最後の3年くらいは明らかな学級崩壊と、娘が担任と英語の先生のことを信頼することができず、と言った様々なドラマがあり、転校に至っています。

転校から3年。現在は「モンテッソーリ学校(Montessorischule)」に通っています。

シュタイナー学校とモンテッソーリ学校。学費はどれくらい?

シュタイナー学校とモンテッソーリ学校は、私立の学校です。

「私立の学校」と聞くと、月額あたりの学費が一番気になるかと思います。

我が家は、様々な理由から一番最初の学校選びで「私立学校」を選んだのですが、私立といえど学校によって特色が全く違うので、「学費」に大きな違いがあります。

もしかすると、州や地域、各学校ごとに設定されている金額が若干違うかもしれませんが、大まかに以下の通りです。

【シュタイナー学校】(バーデン・ヴュルテンベルグ州)

子ども一人あたり 月額250€前後。子どもの人数が増えると割引がある。

※昔は世帯収入に応じた金額設定だったが、廃止された。

※スクールバス代は込み。昼食代は別途必要。

【モンテッソーリ学校】(バイエルン州)

子ども一人あたり 月額230-700€。

※スクールバス代&昼食代込み。

※入学・転入時に入学転入手数料が必要。(低学年1000€以下。5年生以降は1300-1800€。)

※学費は世帯収入に応じた金額設定。(離婚していても、両親に共同親権があれば両方の収入を合算した額での計算になる)

※個人事業主の場合は、月額経費(プライベートの家計簿)の試算表・事業の確定申告書・銀行明細書などの証明書類提出が必要。

余談ですが、上記に加えて

  • スポーツ専門校
  • 音楽専門校
  • 独英、独仏などのバイリンガル校
  • インターナショナルスクール(英語のみ)
  • 日本人学校
  • インターナート(寄宿学校)
  • お城付属のエリート寄宿学校
  • IQの高い子どもたちの通う専門校(私立ではなかったかも)

など、様々な私立学校があります。

興味本位で調べたことがあるのですが、寄宿学校などは月額2000-3000€前後でした。

寮費もかかりますが、少人数制で放課後や長期休暇のアクティビティが、豊富です。

シュタイナー学校とモンテッソーリ学校。大きな違いは何?

我が家の娘は、渡独時ドイツ語力ゼロという状態で、シュタイナー学校へ入学しました。

シュタイナー学校へは1-5年生まで通い、6年生からはモンテッソーリのギムナジウム校へ通っています。

どちらの学校でも数年過ごしましたが、2つの学校の一番わかりやすい大きな違いはまさにこれなのではないかと思っています。

シュタイナー学校

自由ヴァルドルフ学校(Freie Waldorfschule)と呼ばれるシュタイナー学校は、哲学者・思想家でもあったルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が提唱した教育方法です。それゆえ、哲学的・宗教的観点からのアプローチです。一言でいうなら「自由」。(そして教科書と成績表がない)

モンテッソーリ学校

一方、モンテッソーリ学校の方は、イタリアの医学博士・科学者・フェミニストでもあった、マリア・モンテッソーリ(1870-1952)が提唱した教育方法です。それ故、医学的・科学的観点からのアプローチです。一言でいうなら「自立」。(そして教科書があり点数はないが成績表がある)

これは漠然とした聞こえになるかもしれません。

ですが、この2つの学校の根本的な違いが、思想という哲学的観点からの教育なのか事実という科学的観点からの教育なのかという理解があると、それほどそれぞれの教育に対して知識がなくても、子どもたちの授業内容にある程度納得するのではないかと思います。

関連記事:ドイツのシュタイナー教育、シュタイナー学校って何?

↑上記リンク記事を読むと、若干混乱するかもしれません。

各先生との相性や、各先生自身の考え方、教え方にも差があるかと思います。

我が家がシュタイナー学校を選んだ理由。

冒頭でも書きましたが、単純に、元家族がシュタイナー教育に関わっていたためです。

娘が赤ちゃんの頃には、個人的に興味があって書籍を読み、日本でもシュタイナー教育関連のママ会やプレイグループに参加したりしていたので、私の中では何の抵抗もない選択でした。

強いて言うなら、「学費は(元夫に)よろしく」とお願いする感じでした。

我が家がモンテッソーリ学校を選んだ理由。

単純に、当時の娘の状況だと、ここしか入学できる学校がなかったためです。

実は、娘の希望する「ギムナジウムへの転校」を考慮したとき、もちろん「公立」も考えました。

ですが、以下を理由に断念した経緯があります。

  • 公立ギムナジウムには、6年生からの空きはほぼ皆無。(ギムナジウムは5年生から)
  • バイエルン州の公立ギムナジウムのレベルは、ドイツで一番高い。
  • 入学したい公立ギムナジウムのある近所に住所がないと、申請できない。
  • 成績のないシュタイナー学校からの転校だと、学力がはかれない。
  • 公立ギムナジウムで使っている教科書を購入したら、わからない部分が結構あった。
  • 一クラスの人数が多すぎる(25人前後)。
  • 宿題は家庭で済ませる。分からないところは自宅で補う。(私にドイツ語の壁と、仕事による時間的制約もあった)

実は、シュタイナー学校は、公立学校より授業が1.5-2年ほど遅れて進むため、娘のドイツ語能力はあっという間に身についたものの、アカデミックな授業は4,5年生になってもまだ行われていませんでした。

娘は、公立のギムナジウム5年生の使う算数の教科書に載っている「専門用語」が、シュタイナー学校で使われている表現の何を意味している言葉なのか、分からないことが多々ありました。

シュタイナー学校のドイツ語の授業では、Diktat(聞き取り)もほとんど行われていなかったし、ライティングのルールについても、ほとんど教えられていなかったので、公立のギムナジウムへ転入すること自体が不可能なのではないかとさえ思いました。

シュタイナー学校での英語の授業に関しては、授業が荒れに荒れていたので、ほとんど何も習っておらず、公立学校の英語の教科書はちんぷんかんぷんでした。

ただ、娘が元来持っている「自立心&向上心」というものが、モンテッソーリ学校への体験入学時に先生方にはよく伝わったようで、モンテッソーリ学校転入許可の条件でもある「自立しているか。またその可能性が充分にあるか」という点で、高く評価されました。

また、モンテッソーリ学校の特色の一つでもあるのですが、4-6年生が縦割りで1クラスにいます。

6年生の転入時に、もし専門用語や文法のルールが分からなくても、1つまたは2つ下の学年の子どもたちの教科書から教えてもらえる環境があり、本人には負担が少ないのではないか、という学年主任の先生との判断がありました。そうして、転校許可をもらいました。

※通常ウェイティングリストがあるそうですが、他州からの引越であることも考慮されたようです。

最後に。

※別の記事にも書いていますが、重要なことなのでもう一度ここに書いておきます。

私は日本とドイツで15年間子育てをしていますが、大切なことに気づきました。

それは、

学校や友だち環境は大切です。

ただそれ以上に大切なのは、どの教育方法を受けたかや、どの学校を卒業したか、ということに固執するより、

  • 毎日家庭でどういった環境で過ごし
  • 親がどういった接し方や言葉がけをし
  • 親と子がどういった経験を一緒にし
  • 親と子が信頼関係を築き上げてきたか

という事の方が、こどもの人格形成には多大な影響を与える、という結論に至っています。

つまるところ、友だち関係や良い先生に出会えて子どもが満足して毎日過ごしていれば、

どこの国でも、どこの学校でも、どの教育方法でも良いと思います。

大事なのは子どもが成人するまで家庭でどういった教育をし続けるか、だと思います。

昔の私は「シュタイナー教育」をブランド化して捉えていました。

「この教育なら間違いない」と思っていたんですね。

でも、「子育て」は「親が成長すること」の方が

はるかに大きなリターンがあるという思いに至りました。

自分の中にある固定概念や、夢や理想を子どもに投影したりしていませんか?

または、子どもの夢や希望の芽を摘み取っていませんか?

私もひとりの人なので、完璧ではありません。

だからこそ、娘が15歳になった今も、現在進行形で立ち止まって観察するようにしています。

この15年、娘を「一人の個性を持った個人」として観察することで、様々な気づきがありました。

親として、日々精進です。

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