
ドイツにてシングルママ子育てを卒業したSunnyです。
私はドイツにて10年間、起業して自営業一本で子育てをしてきました。そして子育て卒業を目前に、自営業も卒業しています。現在は、国際展開している現地企業で会社員をしています。
そんなシングルママであった私が、ドイツでの自営業労働と、企業での会社員労働を経験して分かった、メリットとデメリットをざっくりと解説したいと思います。
ただ、先にお伝えしておきますが、ドイツで会社員をされている方にとっては、当たり前のことすぎるかもしれませんので、すっ飛ばしてもらってOKです。
ちなみに、私は日本では起業経験がありません。が、家族が自営業だったので、ふわっと理解しています。
ということで、早速いきましょう。
まずはドイツでの起業登録の種類から
| 名称 | 説明 |
|---|---|
| Einzelunternehmer(個人事業主) | 最も基本的な起業形態。1人で事業を行う。商業登録(Gewerbe)必須。税務処理が比較的簡易。 |
| Freiberufler(自由業) | 医師・翻訳者・芸術家・IT技術者などの専門職。Gewerbeanmeldungは不要。税務署への開業届(Fragebogen zur steuerlichen Erfassung)のみ必要。 |
| Kleingewerbe(小規模事業) | 年商が制限(22,000€以下など)される小規模営業。帳簿義務が軽減。Einzelunternehmerの中に分類される。 |
私の場合は、「個人事業主(Einzelunternehmer)」でした。
また、以下は有限会社、株式会社などの違い一覧です。過去記事にも触れていますが、私の娘の場合は、GbRになります。
| 区分 | 名称 | 最低資本金 | 登記 | 責任範囲 | 税務処理 | 利点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 個人 | Freiberufler | 不要 | 不要 | 無限責任 | 比較的簡単 | 登録簡易、帳簿軽減 |
| 個人 | Einzelunternehmer | 不要 | 場合による | 無限責任 | 中程度 | 開業容易、コスト低 |
| 個人 | Kleingewerbe | 不要 | 必要(簡略) | 無限責任 | 簡易会計 | 税負担軽減制度あり |
| パートナー | GbR | 不要 | 不要 | 全員無限責任 | 中程度 | 設立簡単、2人以上 |
| パートナー | OHG | 不要 | 必要 | 全員無限責任 | 高度会計 | 商業活動向け |
| パートナー | KG | 不要 | 必要 | 組合員により異なる | 中~高度 | 出資者保護が可能 |
| 法人 | GmbH | 25,000€ | 必要 | 有限責任 | 複雑・法人税 | 信用力・拡張性あり |
| 法人 | UG | 1€~ | 必要 | 有限責任 | 複雑・法人税 | 小資本起業可 |
| 法人 | AG | 50,000€ | 必要 | 有限責任 | 非常に複雑 | 株式公開可能 |
| 法人 | gGmbH | 25,000€ | 必要 | 有限責任 | 優遇あり | 非営利事業可能 |
ドイツで起業。個人事業主のメリット
私が経験したことだけになりますので、偏りがあるかもしれません。
それでも、該当の方には参考になると思いますので、サクッと箇条書きにしますね。
- 申請がシンプル(Gewerbeanmedlungに必要事項を書くだけ。)
- プライベート健康保険に移籍できる(プライベートだと基本的に優遇される)
- 時間の自由が手に入る(いわゆる9時5時の労働から解放される)
- 上記と被るが、子育て中に起きるあらゆる出来事にすぐ対処できる(子供の風邪や早退のお迎えとか)
- 行動量に比例して収入が上がる
- あらゆる問題解決能力スキルが身に付く
- セルフマネージメントスキルが身に付く
- 行動力が身に付く(言うまでもなく、自分が動かないと何も始まらないので)
- 失敗に対する免疫力がつく(落ち込んでいる暇がないので)
- 上記と被るが、挑戦することに臆病でなくなる
- 行動次第で、普段の生活では出会うことのない人たちに出会える機会が増える
- 自分が好きで始めた事業内容であれば、極められる
- 人生全般に役立つ、大小問わず、決断力が身に付く
・・・経験されている方には、共感していただけるのではないでしょうか。
でも、会社員でも役職や仕事への姿勢次第では、大体同じかも。
ドイツで雇用。会社員のメリット
ドイツで会社員をされている方にとっては、当たり前すぎることかもしれません。
が、自営業時代が長い私にとって、このメリットのいくつかは衝撃的でした。なぜって、日本での会社員環境にちょっと毛が生えたくらいでしょ、しか思っていなかったので。(おいおい)無知は罪。
また、私が就労経験した会社&友人からの話が参考になっています。
- 年間有給休暇が多い(法定では基本的には30日。が、フルタイム労働でも30日以下の会社があることを最近知った)
- 年間有給休暇とは別に、病気休暇が最大6ヶ月まである
- 上記病気休暇は、子供が風邪を引いた時にも適用できる休暇がある
- 有休は絶対に消化しなければならない(余れば捨てることになるので、無理して消化するほど)
- フレックス勤務が浸透している(事務職の場合)
- 定期的に従業員総出のパーティや遠足がある(笑)→会社が結構経費を使ってくれる
- 誕生日にギフトをもらえる(まぁ、自分もチームメンバーに何か差し入れをしなければいけないのですが)
- 春のイースターホリデー前にミニボーナスがもらえ、冬の12月初頭には丸々1ヶ月分の給与がボーナスとしてもらえる
- 会社で飲み食いできる、お茶やお菓子やフルーツが常に常備されている(家にいるみたいで嬉しかった)
- 提携先のカフェやレストラン、スーパーで使えるクーポンを毎月100€分くらいもらえる(出勤日数に応じた食事手当の代わりで、企業側の税制優遇になるらしい)→現金で給与と一緒に支給する会社もあり
- 上司によっては、部下との距離が近くてコミュニケーションがスムーズ
- 媚びへつらいがない(先輩・後輩のような縦社会が薄く、割と対等な関係)
- 給与の賃上げ交渉を上司やHR(人事)と初年度からすることができる。(なんなら面接時からできる)
- なぜか9時半頃から朝食の時間と称して、小休憩がある会社もある
- 机で飲み食いしながら仕事ができる(なんならチーム会議でもリーダーがサンドイッチ食べながらの時もあった)
- 交通費を出してくれる
- 会社によってはWellpassが発行され、格安でジムやヨガに通える(過去記事でも取り上げてますが、従業員のメンタルヘルスケアのため)※詳細記事はこちら
- 残業ほぼなし(業種や役職によるが)→ダラダラと会社に居残る社員がほぼ皆無
- 国際色が豊かな会社だと、毎日の昼休みが異文化交流で面白い
- 言語習得のスピードと精度が上がる
- もちろん社会保険フルサポート
- 育休取得率多い(男女共に)→しかも数ヶ月から3年(1人につき)→しかもこのElternzeit期間の解雇は原則違法
え、多い・・笑
いや、まだあるよな、と思ってChatGPTに聞いたらまだあったので(笑)、以下まとめです。
| 項目 | 会社員 | 自営業者 |
|---|---|---|
| 社会保険 | 全項目に自動加入 | 自己責任で加入 |
| 給与の安定 | 高い | 収入変動あり |
| 福利厚生 | 有り | 無し(自分で整備) |
| 労働時間 | 法定で制限 | 自己管理(不規則) |
| 税務処理 | 会社が代行 | 自分で帳簿・申告 |
| 信用力 | 高(住宅・ローン有利) | 収入証明の難しさあり |
| 自由度 | 低(雇用契約に制限) | 高い(自由に業務設計) |
そうそう、下から2段目の「信用力→高」っていうのは、強いですね。
自営業時代、この「信用力」をつけるのに数年かかりましたので。
ドイツで起業。個人事業主のデメリット
では続いて、個人事業主のデメリットへいきましょう。
ドイツでの会社員のメリットが多すぎて、その逆になるものもありますが、それに付随して、私が自営業で経験したデメリットを挙げていきたいと思います。思いつく限りを書いていたら、あまりにも多くて驚きでした。また、忘れもしない、過去の衝撃経験も含まれています。必要な方に届けたく、有料記事になります。
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