
子育て卒業してもなお、子どもの教育について永遠と尽きない興味関心があり、暇さえあれば専門家や学者の方々の話を聞いては、充実した時間を送っています。
「人を育てる」って、本当に面白い。「植物を育てる」のも面白いのですが、その100倍くらいの面白さがあります。
だって、一人一人違うのです。人種や文化や言語が違えばその幅も広がり奥深く、その一人一人の違い(輝き)を客観的に観察し、発見し、どう効果的にその特性を伸ばせるか、試行錯誤しながら何年も続けるわけです。
その過程には、自分の(親としての)思い込みや不安のフィルターから子どもを観察するのではなく、子どもを「一人の個人」として見ていく必要がありますよね。
そうして、良きアプローチの中で育った子どもが成長し、充実した人生を送る幸せな大人が増えるのであれば、社会貢献にもなります。「幸せな人生を送る」、これほど幸せなことはないのではないでしょうか。
一人の幸せが世界の平和へとつながると本気で信じているので、子育て(教育)は私の永遠のテーマです。
ということで、最近、脳科学者・小児科医でもある成田奈緒子さんのお話も非常に興味深かったので、メモがてらシェアします。(動画リンクは一番下に貼っておきます)
高学歴親という病
なんともパンチの効いたタイトル・・。(成田さんのご著書タイトルです)
簡潔に言うと、高学歴の親が、自分の子どもにも自分が歩んだ道と同じように、私立の評判の良い中・高・大学へ進学させることを強制させてしまい、子どものストレスが過度になり、子どもが不登校になってしまったり、心身に影響が出てしまったり、親子関係が破綻してしまうケースがある症例のことです。
その背景には、高学歴(に限らず)親の生真面目さ、同じ環境で共感できるママ友さんがおらずに孤立化し、育児本はたくさん読むが相談できる相手があまりいないため、独自の判断で子どもの進路を強制してしまう、といったものです。
ちなみに、高学歴が悪い、と言うことではないそうです。
現在では、都市部での中学受験は当たり前、小学受験もじわじわと広がりを見せている日本の現状を知って、結構驚愕でした(ドイツに住んでいると気後れする)。
それで、一体どんな現状?と思って、その背景にある社会の動きを自分なりにリサーチしたことがあるのですが、その背景には、高学歴の親が自分が歩んだ道と同じ道に、自分の子どもを進ませる傾向が強いことがわかりました。
それと同時に高学歴ではなくても、周りのママ友さん家庭が、中学受験をさせるのであれば、うちもしなくちゃ、なんとなく、といった、良くも悪くも日本特有の同調圧力が関係しているようでした。(教育費が増幅しますが)
その後、冒頭の「高学歴親という病」と言う言葉に辿り着きました。
一種の勝ち組、負け組的な感覚なのかな。
確かにMARCHと呼ばれる老舗有名大学を卒業していれば、古くから続くコミュニティに属することはできるし、有名な人脈も広がるだろうし、一生の良き友達もできるだろうし、生涯年収も高いと予想されます。
MARCHとは以下の東京都に本部を置く、難関私立大学群を示す通称。
- (M)-明治大学
- (A)-青山学院大学
- (R)-立教大学
- (C)-中央大学
- (H)-法政大学
(参照:Wikipedia )
ただ、子ども一人一人には「個性」がありますからね。
親が良かれと思って、子どもの意思を無視して学校選択をするのは、親子関係にヒビが入り、最悪、子どもから暴力を振るわれたり、生涯にわたって嫌われ、大人になってから会う機会すらゼロになる可能性もありますので、慎重になる必要があるかと思います。
もちろん、有名大学を卒業していなくても、同等またはそれ以上の人生を送ることだってできますよね。
危険な3種の親の特徴と対処法
心身トラブルを抱えるこどもの親の中には、以下の特徴が見られるそうです。ただ、これらは子育てしている親であれば、誰しも少なからず陥る場面があるのではないでしょうか。
1)矛盾型
2)完璧主義型
3)リベンジ型
以下、特徴と対処法をサクッとまとめました。
1)矛盾型の特徴
ママ友さんの前では「子どもが選んだ学校なら、私立でも公立でも良いと思っている」と言っても(子どももそれを聞いている)、子どもが「友だちも行くから公立学校に行きたい」と言うと、「公立と私立ならどちらでも良いと思うけれど、私立のB中の方が良いと思うよ」と矛盾したことを子どもに伝える。
→ 子どもが「ママがそれを望んでいるなら」とママの選択肢を尊重してしまう。良い子を演じてしまう。結果、進路先で人間関係や勉強で躓いた時に、親のせいにする。または心身トラブルにつながる。
矛盾型になってしまった場合の対処法
親が先を見てこちらの方が絶対に良い!とわかっていても、子どもの本音を尊重してあげる。選択肢がたくさんあることを見せた上で、一緒に調べて選ぶと言う作業をすることも効果的。その上で、子どもが選択した道を尊重し、進んでつまづくことがあっても、その経験こそが大切であり、乗り越える力もつく。
2)完璧主義型の特徴
子どもの前で人間らしさを見せず、常にメイクアップを完璧にし、ファッションも完璧にし、食事・運動・生活全般全てをコントロールし、管理(支配)する。
→ 子どもは「ママ(パパ)が素敵すぎるから、私もママ(パパ)みたいになれないと困る・・」結果、心身トラブルにつながる。
完璧主義型になってしまった場合の対処法
人間は1日24時間、完璧でいると緊張状態にある。そのため、親も心的病に陥りやすいので、人間らしく緩めた自分を子どもの前で見せることも重要。親が人間らしくあれば、子どもは完璧でないといけないという不安から解放される。
3)リベンジ型の特徴
例えば親が学生時代に自分が失敗してできなかった学部への進学を、子どもに強制する。
→ 子どもはママ(パパ)の夢を背負ってプレッシャーを感じ、自分の意思を殺して、親の希望の進学先を選ぶ。結果、親子関係のトラブルに発展する。
リベンジ型になってしまった場合の対処法
子どもを信頼し、意思を尊重する。学力と進路の選択に差がある場合は、ランクを下げて本人に決めさせる。
ちなみに、ドイツで子育てしていると、異文化を背景に持つご家庭が多いので、こういった子育てをする親はあまり見かけませんが(むしろ教育に無関心な家庭も多い)、大学進学率は年々上がっています。
ただ、州ごとに教育制度が異なるため、大学進学がマストだと考える家庭が多い州とそうでない州、また職業訓練(デュアルシステム)も重視されており、大学進学以外の進路も一般的です。家庭によって文化的背景や価値観の違いも影響し、大学進学の重要性に対する考え方は多様であると考えられます。
心配から信頼することへシフトしていく
親であれば、自分の子どもを愛するがあまり、心配だから手を出し、口を出し、先回りをして全て用意し、と言うことをしてしまうこともあるかと思います。
ただ、成田さんによれば、小学生に入る頃には子どもを信頼する幅を広げ、自立を促すように親が手を離し始めるのが重要、と。
小学校に入る頃には、学校で必要なものは親が用意するご家庭は多いかもしれませんが、学年が上がれば上がるほど本人にさせるほうがベスト。学校に物を忘れるのであれば、本人の責任。宿題をしなくて困るのであれば、それも本人の責任。
でも結局宿題しなくても、将来的に宿題をすることが必要であることを、本人が分かるようになり、自らするようになるそうです。
何の服を着るかも、本人に決めさせたほうが良いです。例えそれが親として許容できないものでも。
これ結構難しいかもしれませんが、日本で通っていた保育園の先生が、娘が年長クラスの時に翌年から始まる小学生になる準備として、「翌日に着る服を、前夜に本人に選ばせて枕元に置いておいてください。」と指導されたのを思い出しました。
これは、本人の自立を促し、自己信頼にもつながります。
ルッキズム(Lookism) が根強い日本文化ですので、服のコーディネートが許容できないというママ友さんが何人もいらっしゃいましたが、そのせいで子どもの自立が阻害されるのであれば、本末転倒です。
子どもが親から自立しなければ、将来的に8050問題にまで発展します。
以下のグラフを見ると、中学生に入る頃の理想的な心配は35%、信頼は65%だそう。

12歳というと、ドイツの6年生になりますが、1つ思い出したことがありました。
6年生になると、娘の通ったモンテッソーリ学校では職業体験(Praktikum)を1週間しなければいけない時期がありました。(大体夏休みの直前の6月から7月にかけて)
本格的に将来の仕事に結びつきそうな仕事を選び、実習生として働ける制度なのですが、学校からは以下のルールがありました。
・実習体験をする場所は、親が決めない。
・子どもが自分で探すこと。
・子どもが働きたい、という職業や場所に、親が口を挟まない。
・親が場所探しや、交渉に関わらないようにする。
・子どもの自主性を尊重する。
これぞ、「親が子どもを信頼する」の練習になりますよね。私はこれを愚直に守りました。
いつまで経っても就労先を決めない娘を放ったらかしにし、多少背中を押して、希望の職種への電話かけも、メール連絡も、すべて自分でさせました。幸運なことに、ギリギリで連絡したのもあり、断られ続けて、現実世界の厳しさも体験できました。(この挫折経験はすごく大事)
ただ、最終的に開始1週間前になってもまだ決まらなかったので、近所の町を散歩がてら一緒に歩いて、娘がピンときた店に入ってもらい、飛び込み営業のごとく、片っ端から直接本人に確認させました。
この6年生の時に、「子どもが行動する時には口出しをせずに、見守ること(親として存在していること)はまだ必要だな」と思ったのを覚えています。
寝る子は脳が育つ。10時間睡眠
最近睡眠についての投稿をしたのですが、睡眠医学者の柳沢正史さんも同じことを話されていましたね。
成田さんはそれに合わせて、「早寝・早起き・朝ごはん」は死守してほしいと伝えています。
耳が痛くなるほど昔から聞いている言葉ですが、柳沢さんもお話していましたが、充分な睡眠をとることで成長ホルモンが出て、脳内の神経回路がきちんと発達するそうです。
幼児期から習い事をたくさんして、寝る時間が遅くなり睡眠時間が削られるようであれば、それは本末転倒だそうです。
睡眠時間を充分とっている子どもは、学習能力も上がるそうです。

「朝ごはん」については、すでに15年前の日本の小学校でも、話題に上がっているトピックでした。
睡眠時間が短いが故に、朝早く起きることができず、結果朝ごはんを食べられない、食べる時間がない、と言う悪循環が生まれている家庭がありました。
ドイツにおいては、日本の1-2時間目の授業後に「朝ごはん」を食べる時間が設けられています。
背景は、かつてのドイツの農業社会では子どもたちが早朝に農作業を手伝うことが一般的だったため、朝9:30−10:00頃の間に軽食をとる時間があります。
まぁでもこの時間が外遊びと兼用になっていて、片手にサンドイッチを持って校庭をウロウロする子どもが多かったですけど。
結論
子どもは「早寝・早起き・朝ごはん」を徹底!
親は「自分自身の人生を楽しむことが大切!」とのことです。笑
運動をし、趣味に没頭し、楽しみを見つけることで、子どもだけにエネルギーを注ぐことがなくなりますよね。
すると、親が子どもに過干渉になることがなくなり、子どもがそんな親を見て嬉しくなるそうです。
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