私は日本で5年、ドイツで12年のシングルマザー生活を経験しているのですが、タイムマネジメントはかなり重要な課題でした。そもそもタイムマネジメントが苦手だった私は、1日24時間という限られた時間の中で、子育て・家事・仕事を毎日毎日何年もこなしていくことは、容易なことではありませんでした。
世の中にはたくさんの時間術、子育て法がありますので、良いところ取りをすれば良いかとは思いますが、海外暮らし・子育て未経験、ついでにシングルママも未経験の私が、手探りしながら試行錯誤していった方法です。
1. 起きる時間・寝る時間を決める
1日は24時間しかありません。そして、それは誰にでも平等に与えられています。
その限られた時間で、子どもが心身共に健やかに成長するためには、過去にも書きましたが睡眠時間はとても重要です。
また、子どもの寝る時間・起きる時間が決まっていないと、ダラダラといつまでも親子で夜更かししてしまい、それが習慣化してしまいます。
習慣化とは良い方向に働けば素晴らしいのですが、悪い方向に働けば恐ろしいもので、心身の健康や学習においての集中力が途切れ、非生産的になってしまいます。
また、子どもがいつまでも起きていると、ひとり親の場合は自分だけの時間が全くなくなるので、自分の心の健康を維持するためにも重要です。
ちなみに我が家の環境は以下の通りです。
0-2歳 ドイツ在住。夫と暮らしていたが、不規則な仕事時間のため、ほぼ毎日ワンオペ育児。
就寝時間 20:00-20:30頃、起床6:00-(夜泣きが3歳まで続いたのでまちまち)
3-7歳 母子日本在住。実家暮らしだが、家族はフルタイムワーカーで、ほぼワンオペ育児。(この期間に国際離婚成立)
就寝時間 21:00-21:30頃、起床6:00-6:30頃
7歳 ドイツ母子移住
7-12歳 ドイツの祖父母宅まで車で30分。娘はパパと週に1-2回祖父母宅で過ごす。
就寝時間 21:00-21:30頃、起床6:00-6:30頃
12-19歳 大都市へ母子で引越し。祖父母や子パパに会うのは長期休暇のみ。ワンオペ育児。
就寝時間 21:30-22:30頃、起床6:00-6:30頃
*ちなみに10年生以降の睡眠時間については、娘が自分で自己管理していましたが、このくらいの時間でした。
ただ、長期休暇や週末、イベント後などは、もちろんこの限りではなく、体調に応じて調整していました。
ドイツあるあるですが、ドイツの子どもたちの就寝時間は早い家庭が多いのですが、逆に夏になると夜10時まで明るいので、小さい頃の寝かしつけは工夫が必要でした。(部屋を暗くする工夫)
2. 優先順位を明確にする
時間管理の基本は、自分の生活の中で何が重要で、何を後回しにできるかを明確にすることです。
完璧を目指さない
子どもがいれば、家の中はすぐに散らかります。家事や仕事、育児のすべてに100%完璧を目指すと、ストレスが増えるばかり。70%くらいできていれば充分と自分を許すことで、心に余裕を持つことができます。私の場合は、「できないことはしない」と決めて、疲れていたら洗濯物はたたまないし、食器の片付けも次の日にまとめてしていました。食後にボードゲームをよくしていたので、それはいつもテーブルの上にありました。家の中は散らかっていることは当たり前、くらいに考えることにしてから、随分と楽になったのを覚えています。
タスクリストを作成する
毎朝、または前日の夜に、次の日にやるべきタスクを書き出します。「重要かつ緊急」、「重要だが緊急ではない」など、タスクの種類を分類することで、効率的に優先順位を決めることができます。
例えば、「重要かつ緊急」は
・朝起きたら夕飯の下ごしらえをする(具材も書いておく)
・学校で必要な◯◯の買い物をする(具体的に、どこで何をまで書く)
・学校に提出する書類に目を通しサインをする
などです。
続いて「重要だが緊急ではない」は、
・(今日が月曜日なら)金曜日までに学校に持っていくものに名前を書く
・(ドイツだったら)金曜日の学校のクラスパーティに持っていくマフィンの具材を買っておく(具体的に何を、まで書く)
などです。
紙にメモ書きでも良いですが、私は当時自営業をしていたので、仕事の方でもやるべきことリストが大量にあり混乱するのと、メモ自体を外出時に忘れるので、子ども関係のことは、携帯のスケジュールにメモ書きして、通知アラームを鳴らすように設定していました。
3. 朝の時間は下準備時間
子どもが小さいうちは、子どもと一緒に21時に就寝し、朝4時に起きていた頃もありました。
それはひとえに自分だけの静かな時間が欲しかったからなのですが、当時不用品をオークションで販売する作業をした後、夜のうちに洗濯しておいた洗濯物を干して、子どもが起きてくるまでに、朝ごはんの支度と夜ご飯の下ごしらえが日課でした。
また、過去の投稿でも書きましたが、子どもが翌日着ていく服は、前日の夜に本人に用意させていました。
特に女子はこだわりがある子が多いので、当日の朝にぐだぐだされると、時間が飛ぶように過ぎていき朝からママのイライラ度がマックスになります。
自立心も芽生えるので、本人に服選びをさせるのはおすすめです。ドイツで子育てされている方だと、前日に翌日のお弁当ボックスを作られる方もいらっしゃるかもしれませんね。
4. 仕事と家庭の時間を区切る
在宅勤務やパートタイムで働くシングルママは、仕事と家庭の境界線が曖昧になりがちです。明確に時間を区切ることで、どちらも集中できる環境を作れます。
働く時間を固定する
子どもが小学生低学年の頃は、午前中は現地企業でパート勤務をし、午後は自営の在宅ワークをしていました。ドイツの小学生は昼には帰宅するので、仕事に集中できる時間が限られていたのですが、仕事の時間を決めていました。
例えば「8時半から12時まではパートの仕事、13時から17時までは在宅ワーク」と決めていました。なので、娘には毎日友達と遊ぶ約束をしても良いけど、家に来る場合は2人までにしてね、と伝えていました(昼ごはんの支度や、人数が増えると世話が大変になるので)。逆に娘が友だち宅へ行くのは、習い事がない限り、いつでもOKにしていました。
休憩時間は子どもと過ごす
在宅ワークの場合は、いつまででもいつからでもできる自由度がありますが、子どもが帰宅する時間は休憩時間として、区切っていました。
一緒にご飯を食べて、会話することで、今日学校で何が起こったかを知ることができたので、貴重でした。
5. 外部リソースを活用する
何度か過去記事でも書いていますが、海外でも日本でも、ひとり親が一人で子育てするのは無理があります。子も親も両方の心身の健康のためにも、一人で全てを抱え込む必要はなく、外部リソースを使えるのであれば、どんどん利用するべきです。
Kinderbetreuung(託児サービス)を利用する
ドイツでは、保育園(Kita)や学童保育が充実しています。これらのサービスを活用することで、仕事に集中できる時間を確保できます。(ただ、風邪の流行る時期ですとすぐに先生不足で園や学童が閉鎖になるので、この辺は日本の方が予定が立てやすいと感じます)
公共のサービスの方がもちろん安いのですが、ママ友さんは、近所の学童や託児サービスが満員だったので、保育資格を持った年配の女性の方をローカル紙で見つけて、一時期その方に預けていました。
家事サービスを利用する
これは、娘が小さい頃、日本でもドイツでも、喉から手が出るほど欲しいサービスでした。週3日分の夕飯の作り置きに来てくれるだけで大分助かります。ドイツにもなくはないのですが、簡単な清掃サービスや、買い物などの家事負担だったと記憶しています。日本の特に都市部では定着化していますよね。
親や友人のサポートを頼る
周囲の人々の助けは必ず必要です。例えば、週に一度、親や友人が子どもを見てくれるだけでも大きな助けになります。私の場合は、日本では自分が風邪を引いた時のみ頼める感じでしたが、シングルママだとそれだけじゃ足りないくらい、フルタイムで働きながら一人で育てるのは、もう至難の業です。それなのに、メディアでひとり親家庭の虐待のニュースなんて流れた日には、冷たい視線を感じますからね。(気にしませんでしたが)
なので、子育てを定期的に助けてくれる友人やママ友さん、親御さんなど、もし自分がインフルエンザで倒れた時、1週間単位で周りの方々の協力を得て子育てをできる環境を必ず整えてくださいね。
私の場合は、日本在住時に娘のインフルエンザが移って1週間寝込んだことがあったのですが、兄、父、小児科の病児保育利用でなんとか過ごしました。ドイツでの場合は10倍くらい楽で、元義両親、元義姉(同じくシングルママ)、ママ友3-5名の方々に助けてもらっていました。もちろん、こういうピンチの時のために、日頃から常に持ちつ持たれつ精神で良好な関係を築く努力をしていました。
家事サポート家電を揃える
家事を楽にする電化製品を揃えるのは、時短するためにも子どもとの時間を増やすためにも必須です。日本だと性能の良い家事サポート電化製品がたくさんあるイメージですが、高価ではありますよね。費用対効果をどう計測するかにもよりますが、日本とドイツでシングルママ生活をした私が、個人的にこれ「だけ」は絶対にあってよかった家事サポート電化製品は以下の通りです。
・食洗機
・オーブン
・タイマー付き炊飯器
家族構成にもよりますが、親1人、子1人、部屋数2つバルコニー付きとかで、この3つの電化製品さえあれば、あとは何とかなります。
無駄な時間でしかない食器洗いは、食洗機に任せておけば、あとは子どもと食後にボードゲームを楽しめます。
オーブンがあれば、肉や魚、野菜やグラタンなど何でも、味付けして入れるだけで焼き上がるのを待つだけです。
その間に学校からの手紙に目を通してサインもできるし、子どもと一緒に宿題の確認もできます。
炊飯器って、日本では普通ですが。。笑 ドイツでは持っていないご家庭もまだまだあります。タイマー付きだと本当に便利。なんなら炊飯器レシピを見れば、炊飯器で一品作ることも可能ですしね。
洗濯物は、バルコニーがあれば冬以外は洗濯物はバルコニーに干しておけます。冬は部屋が乾燥して暖かいので、すぐに乾きます。
強いていうならお掃除ロボットもあればいいかもですが、これはお好みや家庭の経済状況によるかなと思います。
6. 子どもとの時間も有効活用
シングルママにとって罪悪感を感じる1つは、子どもとの時間が足りないと感じることかもしれません。でも、小さい頃の時間は飛ぶように過ぎていきます。今だから分かりますが、子育て19年間も飛ぶように過ぎていきました。だから、子どもたちとの「今」「今日」という時間は後にも先にも2度とやってきません。
その「今日この瞬間」を一緒に過ごす何気ないことが、子どもの心にはずっとずっと残り続けるものです。それでも家事は山ほどありますよね。
そのため、我が家ではもう日常の動線の中に、子どもが家事をお手伝いできるような工夫をしていました。
一緒に家事をする
4歳頃からは、食器棚は子どもの背の高さに合わせていました。子どもの性格やママさんのこだわりにもよりますが、私は一にも二にも家事の手伝い手が必要だったので、皿が割れることを懸念するよりも手伝ってくれる方が優先順位が高く、子どもが手伝いやすい小ぶりのお皿や、落としても割れない素材のもの、またはワンプレートでご飯が食べられるようにお皿一枚にしていた時期もありました。
洗濯物をたたませる手伝いも、大人から見たらぐちゃっとしていても、本人が手伝ってくれたことを尊重し、ぐちゃっとしていても、そのまま引き出しにしまってもらっていました。徐々にコツを教えていけば、自然と上手くなります。
食材を切ってもらうことも、本人がしたがるなら、一緒にしていた時期もありました。
どちらにしても、子どもに簡単な家事を手伝ってもらうことで、家事をしながらコミュニケーションを取ることができます。自尊心や自立心、責任感も芽生えるので、やってみることをおすすめします。
短い時間でも質を重視
毎日とても忙しくしていると、一緒にいる時間が少ないと感じるかもしれません。でも例えば、就寝前の15分を絵本の読み聞かせや会話にあてるだけでも、親子の絆を深めることができます。
我が家は、日本語教育も兼ねて、0歳から12歳までほぼ毎晩、絵本や児童書の読み聞かせをしていました。小学生になると、児童書の中のお話に親子ですっぽりと入り込み(初めて読む本もあったので)、次はどんなことが起こるのかワクワクして聞いてくれたり、悪者が出てくるお話なら、その悪者がどういう行動をするかと推理しながら聞いてくれたりと、本当に楽しい時間でした。
日常の何気ない会話で、読み聞かせの中に出てくる登場人物の話や、自分が推測した話などを突然してくることもあるので、脳の中で言葉と情景が繋がっているんだなと思い、日本語能力維持のために役立ったと思っています。
7. 習慣化
毎日毎日、仕事だけではなく、家事や育児に追われていると、一年、二年、と過ぎていきますよね。今は小さな子どもが自分専用のタブレットやスマホを持つ時代ですが、それでも電子機器に子守をさせすぎるのは、将来的に脳や心身の発育への影響が気になります。
人生もそうですが、子育ても「今」の積み重ね。しかも長い人生の中のたった20年弱です。小さな子どもにおいては、数年単位で成長段階が変わります。
「シングルママだからできない」を理由にしないで、「シングルママだけどできることって何かな?」から始めれば、きっと山ほどあるタスクが少しずつシステマチックに片付くようになります。
時間管理を習慣化して、周りの方々の助けを得られる環境を整え、子どもとの時間も家事へと有効活用すれば、それこそが育児なのではないかなと思います。
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