我が家の娘はドイツ移住時からこの8年ずっと
ドイツの私立校に通っています。
ドイツに移住する前の5年間(娘が2-7歳まで)は、私は娘と2人で日本で暮らしていました。
その間、地域にある社会福祉法人の保育園に通っていました。
その後、日本在住時の地域にある公立の小学校へ2年生の5月まで通いました。
ですので、あくまでも私の個人的見解にはなりますが
日本で経験した公立小学校と、ドイツの私立校の違い(メリット・デメリット)をあげてみようと思います。
【目次】
ドイツの私立小学校と日本の公立小学校。比較したメリットとデメリットとは?
まず、大前提として各ご家庭の教育理念や教育方針があるかと思いますので、
どれがメリットで、どれがデメリットかという判断は、読み手の方に任せます。
また、お子さんの性格や個性によっても、合う環境・合わない環境がありますので
小さい頃からじっくり観察されて、判断材料にしてもらえたらと思います。
以下は、あくまでも一母親である私個人の見解です。(思い出したらまた追加していきます)
ちなみに我が家の教育方針は、
「自分の道は自分で決め、自分の足で歩ける自立した人に育てること」です。
日本の小学校のメリット(公立学校)
- みんなで掃除をする習慣があること。(掃除の時間がある)
- 栄養バランスを考えた、給食がある。(給食配膳の時間がある)
- 四季折々の行事が多い。(遠足、運動会、スポーツ大会、マラソン大会、学校祭など)
- 中高学年ではクラブ活動がある。(放課後に運動や手芸などのクラブ時間がある)
- 朝読書の時間がある。(10-15分静かに本を読む時間がある)
- 習字を習う。(日本語の文字の構成や筆の運びを習える)
- ”〇〇係”があり、子どもたち一人一人が責任を持つことを学べる。
- ほぼ1日学校で過ごす。
- 参観日がある。
- 体育の授業が充実している。(一輪車、縄跳び、大縄跳び、竹馬、鉄棒、跳び箱、うんてい、陸上競技、球技など)
- 健康診断、体重身長測定、歯の検診がある。
日本の小学校のデメリット(公立学校)
- 小さい頃から、テストや成績の点数制で能力をはかられる。
- 毎日の宿題がとにかく多い。
- 持ち物の決まり事やルールが多い。
- 習い事も多い。(家庭での選択だが、周りの子に合わせるとそうなってしまう)
- PTAの風紀が微妙な上に、夜の会合などがある。
- 役員などを必ずやらねばならない暗黙の了解がある。
- 地域によっては、国際性を学ぶ機会が少ない。
以上、ひとまず日本の公立小学校についてざっくりと書いてみました。
では、私たち親子が経験したドイツの私立小学校はどうでしょうか。
ドイツの小学校のメリット(私立学校)
実は、「私立学校」とひとくくりにしても、それぞれに独特の教育カリキュラムを導入しているので、一概に比較はできません。
ですので、娘が5年間通ったFreie Waldorfschule(ヴァルドルフシューレ/シュタイナー学校)と比較してみたいと思います。
まず、メリットからです。(ちなみに西ドイツ南部です)
- 成績が点数制ではない、子どもの持つ能力を数字のみで判断しない。
- 宿題や授業は、色彩豊かなみつろうクレヨンやみつろう色えんぴつで行われ色彩感覚が育つ。
- 学校で使用するものは、自然素材がほとんど。(羊毛・フェルト・木材・綿・シルクなど)
- ドイツ以外の国をルーツに持つ子どもがクラスに何人かいる。
- 英語学習は一年生から、第三か国語(娘の学校ではロシア語)は二年生から習う。
- 学校行事の手伝いやクラスのイベントには、進んでボランティアをしてくれる保護者が多い。
- 子ども一人一人の「個性」を先生が見極めてくれ、かつ尊重してくれる。
- 子どもの自主性が育つまで、独特の教育哲学に沿ってゆっくりと段階を追って導き待ってくれる。
- 子どもについて気になることがあると、先生と直接個人的に面談や電話で話をする時間がとれる。
- 制服や、指定体操着などの購入しなければいけない服がない。
- 必ず揃えなければいけない学用品が少ない。
- 創造的・芸術的な授業を行ってくれる。
- パン作りや、小屋づくりなど、大きなプロジェクトを1年かけて行う授業がある。
- スクールバスがある。
- クリスマスバザーが、街中のクリスマスマーケット並のクオリティの高さで楽しい。
※ちなみに、2.3.11.15はシュタイナー学校ならではかと思います。
※ドイツの公立小学校の場合は、11の用意するべき学用品が多いかと思います。
ドイツの小学校のデメリット(私立学校)
日本の公立小学校と比較すると、ドイツのシュタイナー学校は、
私にとっては、カルチャーショックになるものもありました。
ただ、シュタイナー学校は担任の先生とクラスメイトの個性次第で
いかようにも印象は変わると思います。
- 学校で子どもたちが掃除をする習慣がない。(よって汚部屋で平気な家庭もあった)
- 給食は栄養バランスが微妙。(給食は6年生から)
- 朝10時前後の20分休みに、軽食をとる習慣がある。
- 食事の仕方が自由すぎる。(外で遊びながら食べる、机の上に座る、靴を履いた足を椅子に乗せるなど)
- 学校で手洗い・うがいの習慣がない。(よって冬になると毎年クラスの半数以上が風邪をひく)
- 理科の観察や実験のような授業は少なくとも5年生になってもなかった。
- 宿題に「外遊び」「お花集め」「木の枝探し」というのが、3年生頃まであった。
- 夏に気温が25度以上になると「Hitzfrei」という、授業も学校もなくなることがあった。
- とにかく帰宅が早すぎる。(1-3年生頃まで12時半。4年生から13時半-14時)
- 毎月または隔月1回、20時-22時に保護者会がある。
- スポーツの時間が少ない上に、毎回鬼ごっこかドッジボール。
- メリット1と被るが、成績表がないことは、途中で転校する場合は痛手となり得る。
- 公立小学校とは習う内容や習う時期に違いがあり、ゆっくりめ。(過敏な親は心配の種がつきないと思う)
- 放課後学童クラスは4年生まで。(追加有料)
- 生徒の個性を大切にするからか、3年生になっても九九や文字の読み書きが危うい子どもがクラスに1/3はいた。
- 担任の先生は7年生まで変わらない。(相性が悪いと学校生活が厳しいものになる)
- クラスメイトにおいては12年生まで変わらない。(クラス替えなし。16と同様のことが起こり得る)
- 友だちが近所に住んでいないことが多いので、遊ぶ約束があると片道20-30kmを車で送迎する必要があり得る。
- アカデミックな勉強をしたい子どもの場合は、クラスで出る釘になり得る。
- 実際に授業を見学できる参観日は、ない。
- そもそも、勉強は「学校で半分、家庭で半分」なので、親の学習への関わり方が子どもの学習力に影響する。
※ちなみに、6.7.9.10.11.13.15.16.17.19はシュタイナー学校ならではかと思います。
※12.14.18.20に関しては、他の私立校でも同じかもしれません。
※1.2.3.4.5.8.9.21はドイツの公立小学校でも同じかと思います。(2は学校による)
また、日本にもドイツにも「モンスターペアレント」はいます。
メリットの9、先生と子どもについて個別にいつでも話ができるのは「必要があれば」程度ですが、
やたらクレームをいちいち言う保護者はクラスに2-3人いました。
最後に
いかがでしたでしょうか。
私たち親子が経験して感じた
「日本の公立小学校とドイツの私立小学校の違い」について書き出してみたら、熱くなってしまいました。
でも、上記のメリット・デメリットについては、結局は日本でもドイツでも
親の考え方・捉え方次第かなとも思います。
共通点としては、人種や国は違えど同じ人の子どもの集まりですから、
「いじめ」もあるし「差別」もあります。
その反面、肌の色や髪の色や目の色や母国語が自分と異なっていても
「他者との違いに着目せず共に共存すること」を、成長と共に身に着けているような気がします。
でも、この15年間の子育てで分かったことは
どこの国に住んでいようが、公立学校でも私立学校でも
結局は「教育は家庭から」という結論に至っています。