ドイツの生活

ドイツでVipassana(ヴィパッサナー)瞑想合宿に初参加。

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ドイツでVipassana(ヴィパッサナー)瞑想合宿に初参加。

皆さんは、「ヴィパッサナー(Vipassana)瞑想」をご存知でしょうか?

2500年以上前、仏陀が再発見し悟りを開いた瞑想法として今日でもひっそりと世界中に伝えられています。

指導者から指導者へと受け継がれ、現在は、ミャンマーで生まれ育ち、後にインドに移住したS.N.ゴエンカという方が、1969年より指導しています。(2013年に死去されていますがオーディオが使われています)

そんな歴史ある瞑想法を学べる合宿が、なんとドイツにもあると知り(しかも2ヶ所)、興奮気味に参加してきました。

(2022.09.18ラジオ配信回の書き起こし+追加情報です)

ヴィパッサナー瞑想との出会い

私がこの瞑想法の名前を耳にしたのは、さかのぼること約15年前の日本。

当時、定期的に参加していたママ友会で、ママ友旦那さんが友人からヴィパッサナー瞑想の話を聞いた、と教えてくれました。

聞けば、かなり強烈なルールのある瞑想合宿。

なぜならーー

・10日間ぶっ続けの瞑想合宿。(前夜も含めると実質11泊12日)

・朝4時半から始まり、21時に終わるという、1日通算で10時間以上の瞑想時間。(途中に休憩はいくつか入ります)

・携帯電話、本、ノートやペン、PCなどの持ち込み禁止。

・瞑想期間中は、誰とも目を合わせてはいけないし、会話も禁止。(全てのコミュニケーションが禁止)

・合宿場が山の中にあり、周りに何もなし。(つまり簡単に逃げられない)

・男女は別。

・ヨガやストレッチなども含めた運動禁止。

上記に加え、以下実際の厳しい5戒律があるとのこと。

1)生き物を殺さない。(ハエや蚊も)

2)盗まない。

3)性行為を行わない。

4)嘘をつかない(自分にも)。

5)酒・麻薬類をとらない。

これを聞いて、もしかしたら少なからず多くの方が「やば・・」と思うかもしれませんね。笑

私の場合、元々ヨガを約20年間ゆるーく続けていたのもあり、その流れで瞑想は身近な存在でした。ヨガが自分の体と向き合うトレーニングになるのに対し、瞑想は自分の心と向き合うトレーニングになります。

ですので、「そりゃそのくらい厳しい戒律じゃないと、自分自身に向き合えないわよね」と妙に納得したのを覚えています。

ただ、当時は子どもが2歳。国際別居中だったのと、10日間も小さな子どもを預けられる家族がいなかったので、諦めました。

そうして15年が経過した2022年夏。

娘が不在になるちょうど同時期に瞑想合宿のスケジュールをたまたま発見し、ついにやってきた大チャンスを前のめり気味で掴み取り、ドイツ南部にある合宿場へ行ってきました。

そもそもヴィパッサナー瞑想って一体何?

ここ数年の「瞑想」の認知度は、大分上がりました。それは、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏やGoogle社などで、瞑想時間を勤務中や生活に取り入れ、社員の生産性向上や集中力維持に役立つため、話題になったからです。

ただ「瞑想」と言っても、多種多様なものがありますよね。

そもそもこの「ヴィパッサナー瞑想」とは何なのでしょうか?

ヴィパッサナーは、自己観察による自己変革の方法です。この瞑想法では、心と体が互いに影響を与えている深いレベルに焦点を当てます。体の感覚は、肉体の生命を形作り、同時に精神の生命と途切れることなく関わってそれを条件付けます。その身体感覚に注意を定めることで、心と体の相互作用を直接に体験できるのです。この自己観察に基づく自己発見は、心と体の深いレベルまでたどっていくと心の汚濁を取り除き、愛と慈悲に満ちた、バランスのとれた心へと導いてくれます。

思考や感情、判断力や感覚を管理する科学法則は、鮮明になります。自らの経験を通じて、生まれては消え去るという自然の特質、苦悩を生み出し苦悩から自由になるための方法を理解します。明確な気づきを得てまやかしが消えるとき、自らを律する力は増して、人生は安らぎに満ちたものとなるでしょう。

日本ヴィパッサナー協会より引用

ちょっとややこしい説明ですね。

私が実際10日間の瞑想中に理解したのは、簡潔にいうと

体に起こる痛みやかゆみなどの全ての感覚を、「平静に」「客観的に」「観察する」ことによって、心の浄化が自動的に行わる、ということ(この3つの言葉が、終始キーワードになります)

つまり、ヴィパッサナー瞑想で、自ら苦しめている心の底にある否定性(感情や経験)があぶり出され、消えていくというのです。

ゴエンカ氏は、これを何日目かの講話の中で「心と体のつながりはコインの裏と表のようであり、この両者のつながりを経験すると苦しみから解放される」といった内容を話されていました。

私の場合、これを経験するのに実に8日間かかりましたが。

しかも、なぜ心の中の否定性が瞑想によって消えていくのか、理論的に知りたくてうずうずしました。(この元来私が持つ旺盛な好奇心が、一貫して始終雑念を生みだし苦労する)

ヴィパッサナー瞑想は宗教とは関わりを持たない?

ヴィパッサナー (Vipassana) は、物事をありのままに観察する、という意味です。 宗教とはかかわりをもたないこの技は、あらゆる心の汚濁を取り除き、解脱という究極の幸福を目指しています。

日本ヴィパッサナー協会より引用

冒頭の厳しい戒律を聞いたとき、やばい宗教施設かと頭によぎった方もいるかもしれませんが、実際には各宗教とは関わりを持ちません。

参加される方には、仏教徒もヒンズー教徒も、カトリック教徒もキリスト教徒も、その他の信仰を持つ・持たない様々な方々が参加されています。

また、参加者の社会的ステイタスも多様で、それこそインドで言えばカースト制度の貧困層から王族などまで、幅広いようです。

また、日本ヴィパッサナー協会にも記載されてありますが、誤解のないように以下のような目的でする瞑想合宿ではありません。

・盲目的信仰による宗教儀式ではありません。

・知的、哲学的な娯楽ではありません。

・休息による癒し、休暇、社交のための場ではありません。

・日常生活における試練や苦悩からの逃避ではありません。

https://jp.dhamma.org/ja/reference/code-of-discipline/

個人的な印象としては、講和では仏教に出てくる例え話が多かったかなと思います。

ヴィパッサナー瞑想初心者だけど・・先生はいるの?

私のように未知なる世界へ足を踏み入れてしまった瞑想者には、不安もあります。(知らなかったけど、英語ではmeditatorって呼ぶのですね)

でも、安心してください。10日間、ゴエンカ氏のインド訛りの強い英語オーディオ&ドイツ語翻訳アナウンスのみで瞑想するのではありません。

(そもそも瞑想時間中は、静寂に包まれています。最初と最後の数分だけオーディオが流れます)

初心者&疑問が生まれる瞑想者のためにも、瞑想合宿には熟練した男女の瞑想の先生がいつも鎮座しています。

お昼休憩や夜の瞑想後には、迷える瞑想者たちの質問に丁寧に答えてくれます。

先生になるためには、長時間動かずに何週間も瞑想する訓練を、何年かする必要があるそうです。(つまり内観を長期に渡って研磨し続けている)

厳しい修行をされてきたからこそなのか? 温かな慈愛に包まれた雰囲気のある人でした。

男性グループには男性の先生、女性グループには女性の先生です。先生は、英語とドイツ語対応可能です。

私は疑問や雑念が多すぎたので、初日からほぼ毎日先生に質問しました。

お昼の質問時間には、あらかじめ名前を書き込めるリストが掲示されていて、それに自分の名前を書き込むだけです。

12時から始まるので1番目に名前を記入した場合は、開始5分前には該当の部屋へ向かう流れです。

また、参加者のサポート役として、瞑想経験が長く知見のあるマネージャーが男女それぞれのグループにつきます。瞑想技法以外の問題(滞在全般に関することやスケジュール、ルール、健康など)について話をする必要がある場合は、このマネージャーとの会話が可能です。上記の先生に質問できる時間の時も、待合広場にマネージャーが一緒に座って待ってくれているので、安心です。

テクニカルな英単語の意味がわからなかった時も、マネージャーが日本語で翻訳したものを出力してくれました。本当に優しい方々ばかりでした。

それから、ボランティアの方々も数名いらっしゃいます。男女それぞれのボランティアの方々は、食事の支度や合宿全般に必要な準備等を手際よく行っていました。瞑想合宿10日間を1度受ければ、ボランティアとして参加可能です。

シンプルなのに難しかった!ヴィパッサナー瞑想方法とは?

呼吸に集中した瞑想なら、朝夕5分〜15分ほど習慣的に行っていた私ですが、きちんと誰かに教わった経験がありませんでした。

なので、このヴィパッサナー瞑想法を熟練した先生から学ぶことは、それだけでも大きな価値がありました。ただ、思ったよりもとてもシンプル。それなのに、前述しましたが私には疑問や雑念が多すぎたので、かなり苦労しました。

ヴィパッサナー瞑想の基本は、身体的な「感覚」「客観的に」ひたすら「観察」します。後半からはそこに「平静に」観察し続ける、と指導されます。

1)まずは、鼻腔および、上唇と鼻の穴の間の肌の感覚を観察します。(呼吸を観察するとは若干違う)←最初の3日間

※呼吸の通る部分(鼻腔)、呼吸の当たる部分(上唇と鼻の穴の間の皮膚)を含めた三角形を観察する。

※これは、集中力を高める練習と身体的感覚の鋭敏さを呼び起こすため。

2)4日目から8日目は、頭上→つま先、つま先→頭上の順番で、全身に感じられる全感覚を、右半身→左半身の順番で、できるだけ細かく客観的に観察します。(ボディスキャン)

ここで、足のしびれや肌のかゆみ、腰やヒップの痛みや居心地の悪さなどを感じても、ただ「客観的に観察」し続けます。

思考・感情・雑念が頭に浮かんでも、自分の身体的感覚に意識を戻して、客観的に身体感覚を観察し続けます。

3)8日目午後からは、2)のボディスキャンを半身ずつではなく全身同時にして、観察スピードをもう少し速くしていきます。

その後、体の各部位にそれぞれ焦点を当てて、体が何を感じているかを注意深く観察し続けます。

全身ボデイスキャン→各部位ゆっくりボティスキャンの順番で、観察していきます。

以上。

頭で理解する分には難しくなさそうなのですが、言うは易く行うは難し。。

ヴィパッサナー瞑想中の私の体験。

瞑想ホール内。人が歩くと床板が軋むので、その音で最初は何度か集中力が途切れた。

1日中、何時間も瞑想三昧の10日間。それでも、逃げ出したい、辛いなどと一度も思いませんでした。

なぜなら、世俗世界の生活の方がよっぽどストレスの多い生活だったから。笑

シングルマザー

・自営業

・海外暮らし

という単語が並んだだけでも、まぁそこそこ不安要素があるじゃないですか。それに伴う、プレッシャーも半端なものではありません。

そもそも仕事ではバーンアウト(燃え尽き症候群)を何度か経験しているし、プライベートのストレスも長かったし、こんなに長い期間、静かに自分のためだけに使える贅沢な時間は過去十数年ありませんでした。

ふとそんな自由を噛み締めながら、大切な自分自身を見つめる機会を得られたこの奇跡に感謝して取り組んだ瞑想。

それなのに、最初の3日間に行う鼻呼吸の観察が霧の中を彷徨っているような感じで、苦労しました。。

ご興味のある方のために、以下が私の体験です。(この瞑想合宿に参加されたい方は、がっつり事前情報を仕入れない方がいいかもしれません。私のように、好奇心旺盛で情報を取り込みすぎると、期待と挫折で苦労します・・)

【1-3日目】

そもそも鼻の穴を出入りする空気の流れを、鼻の穴の入口下部で感られなかった。空気は出入りしているはずなのに!

そのうち観察で気がついたのが、ヨガをしているときに基本的にお腹の底から呼吸するため、喉も一緒に使って呼吸しており、鼻腔よりも喉の空気の流れの方が強く感じた。これと同じ気づきがある方がいらっしゃると嬉しいのですが。

それと同時に、私の頭の中は過去の出来事の怒りや悲しみが次々に浮かんでは消え、気持ちを持っていかれなかなか集中できなかった。また、長時間の座禅がまだ辛かったので、ポジションが定まらず何度か動いて足の痺れとも闘っていた(闘うのではなく、「観察する」必要があったのですが)。他の初参加者も同じようで、最初の数日は瞑想中に何度も人が出入りするため(気分転換に外へ出るため)、瞑想ホールの木製の床の軋む音で注意散漫になった。

【4-8日目】

頭の上からつま先までをボディスキャンしている際、頭の中の雑念に意識を持っていかれ、そんな時は呼吸が浅いと気づいた。よくこんなに頭の中でおしゃべりが続くなと、自分で自分にうんざりするぐらい。この期間、マインドフルネス瞑想とヴィパッサナー瞑想の違いについても多々考えた。

そうして毎日瞑想していくうちに、頭の中の雑念は完全に消滅はしないものの、後半は自分の身体的感覚機能に集中できる時間が長くなってきた頃、グループ瞑想では動かずになんとか1時間座っていられた。

そんな中、瞑想中の足のしびれに意識を向けて平静に客観的に観察し続けていたところ、しびれはあるのに皮膚の表面からは消えて、気にならない程度のしびれに瞬時に変わっていった!これはとても不思議な体験だった。

【8日目午後-10日目】

退室はおろか目を開くことも、動くことさえ許されないグループ瞑想中に、いつものようにボディスキャンスピードを速めていた時、急に喉に異変を感じて咳が出た。なんとなくずっと続くような咳になってしまい、80名近い男女が静かに瞑想をしている瞑想ホールに私の咳だけが響いていた。最初は焦ったけれど、瞬時に瞑想技術で身体の不快を客観的に観察してみた。すると、喉のイガイガが消え去り咳が止まった!翌日先生に確認がてら報告すると、「それがアニッチャ(諸行無常)よ」と教えてもらいました。

ある午後。いつものように瞑想ホールで瞑想をしていると、全身の感覚が研ぎ澄まされていくのを感じた。集中力が高まり、瞑想の型にすっぽりとハマった私の体は静かに電気が流れているようで、何とも言えない幸福感で満たされているのを感じた。初めて質の高い瞑想を経験。その後の休憩時間にも続き、心が静かに平和と幸せで満たされた。今存在していることに感謝と幸せを感じた。

他の参加者の瞑想体験談を聞いてみた

晴れて無事に10日間の瞑想修行をやり遂げた、私たち。参加者の3分の2が20代、残り3分の1が30代、40代、50代、といった印象でした。ほとんどがドイツ人です。

雰囲気的には、ドレッドヘアのアーティスト、ほっそりと姿勢の美しいバレリーナ、ヨガやピラテスの先生、OLさん風の人(私の勝手な想像ですが・・イメージしやすいでしょうか)が多かったです。

いかんせん、ドイツ語会話が面倒な私は誰と話そうかと不安だったのですが、そんな不安もすぐに吹き飛び、マネージャーが笑顔で話しかけてきてくれました。彼女は英語も流暢なので、安心です。自分の体験を一通り話すと、とても喜んでくれました。その喜んでくれる姿に、なぜか涙腺が緩み・・。

初参加の若い20代の子たちは、10日間合宿を完遂した自分に誇りを感じていて微笑ましかったです。最初は、長時間の座禅や感覚の観察が難しくて、何度か逃げ出したくなったと言っていました。日が経つと1人、また1人といなくなったのを見て自分を奮い立たせたそう。笑(実際、途中で3人程いなくなっていた)

一方、私は何度も参加経験をしているOld Students(2回目以上の参加者の呼称)の経験談を聞きたかったので、私の苦労した経験談も踏まえながら、英語を話せる方たちを選んで話しかけてみました。(私は最初、講和の時間は英語グループに入っていたので、顔を覚えていた)

すると大体のOld Studentsの方はすでに4回目や5回目の参加であり、「毎回違う体験をするのよ」と教えてくれました。ただ、どの方もこの瞑想合宿に参加し始めてから、日常生活で起こるストレスの対処が楽になり生きやすくなったと言っていました。

ある方は、3回目の参加の時に人生を変えるインスピレーションが湧き、全く考えていなかった職種に転職し、結果的にそれがとてもやりがいと充実感を感じる仕事であり幸せだと教えてくれました。

瞑想中に、なぜか涙が自然とポロポロと流れ、これこそヴィパッサナー瞑想で言われる「心の手術よね」とおっしゃる方も。そんな瞑想歴の長い彼女たちの周りには、何とも言えない他人をほっとさせる温かい雰囲気が漂っていたのが印象的でした。

どちらにしても私が話をした全員が、ポジティブな体験をしていました。

ヴィパッサナー瞑想合宿の一日の流れは?

牛舎を改築した瞑想ホール外側。中は床板で暖房設備も完備。普段は夏場に学校の音楽練習合宿にも使われている。

ヴィパッサナー瞑想合宿が初めての方は特に、一日のスケジュールも気になりますよね。

以下、1日計10時間以上の瞑想スケジュールになります。

4:00      起床

4:30-6:30   瞑想(ホールまたは部屋で)

6:30-8:00   朝食休憩

8:00-9:00   グループ瞑想(ホール)*

9:00-11:00   瞑想(ホールまたは部屋で。先生の指示による)

11:00-12:00  昼食休憩

12:00-13:00  休憩 / 先生への個別質問

13:00-14:30  瞑想(ホールまたは部屋で)

14:30-15:30  グループ瞑想(ホール)*

15:30-17:00  瞑想(ホールまたは部屋で。先生の指示による)

17:00-18:00  夕食休憩

18:00-19:00  グループ瞑想(ホール)*

19:00-20:15  講話(英語、ドイツ語、日本語グループに分かれる)※他の言語もあると思います。

20:15-21:00  グループ瞑想(ホール)*

21:00-21:30  先生への個別質問

21:30     消灯

*グループ瞑想は、必ず全員ホールに集まって瞑想をしなければいけません。

また、このグループ瞑想時間は深く自己観察をするために、目を開けたり、動いたり、退室が禁止です。

耐えきれず退室した方々は、瞑想終了後に先生に指導されていました。

こうして、10日目の午前10時頃の瞑想時間が終了後、瞑想参加者同士の会話も解禁されます。

上記のようにみっちりとスケジュール構成されていますが、瞑想と瞑想の間には10分ほどの休憩時間があります。

また、部屋で瞑想して良い時間帯は退室が自由なので、外を散歩してもOK。(男女区別された、散歩&休憩用の広い芝生があった)

この時間は、昼寝をしている方もいました。(昼寝してしまうので、横になるのは5分以内を推奨されていた。それも自己修行。)

男性エリアから見た芝生。右手奥が女性エリア。

休憩時間は昼が一番長く、この時間帯にシャワーや洗濯(手洗い)をされている方が多かったです。私の行った瞑想合宿場は、そもそも普段はユースホステルとして運営されている建物。4人で1部屋をシェアし、部屋に1つシャワー&トイレがついたバスルームがありました。4人もいると、シャワーや洗濯の時間は工夫する必要があります。バスルームが付いていない部屋もあるので、その部屋の方々は廊下にある共同シャワー&トイレを使用していました。

部屋の配分は、同経験、同年齢同士がなるべく一緒になるように分けられていた印象でした。実際、私のルームメイトたちは全員40代。

ただ、最初の3日目で一人が別の部屋へ移動し、5日目早朝には更にもう一人が脱落していなくなってしまったので、後半は2人で1部屋をシェアしたためとても快適でした。

私たちがシェアした部屋。2段ベッドは下段のみ使用。

ドイツのヴィパッサナー瞑想合宿の食事内容は?

スケジュールを見ると、1日に3回食事の時間があります。ただ、宗教や健康上の理由で食事の制限や嗜好が異なりますので、ヴィパッサナー瞑想合宿ではビーガンの食事になります。つまり、肉、卵、乳製品など動物性由来の食品を摂取しない食事になります。

最初は、肉なしはまだしも、チーズも卵もなしなのか・・と思っていましたが、驚いたことにビーガン食のメニューが毎日美味しくて幸せでした。ミルクは植物性と動物性がありました。ヨーグルトは動物性だったと思います。

以下、基本的な食事内容になります。

【朝】※10日間同じ

・オートミールのお粥(温かい)+レーズンと干し杏の甘煮ソース

・または、ライ麦系の黒パンや小麦の分量の多いパン+自家製ほうれん草ペーストや、各種ペースト、ピーナツクリーム、生野菜のスライス、ジャムなど

・各種フルーツ(バナナ、りんご、アプリコット、西洋梨など)

【昼】※日替わり(↓ある日の昼食)

・かぼちゃと各種豆(レンズ豆やヒヨコ豆など)のカレー

・ライス

・リーフサラダ

・セロリとディルの酢漬け

・または、ライスワッフルorパン+自家製ほうれん草ペーストや、各種ペースト

【夜】※10日間同じ

・生姜入りりんご味のお茶(温かい)

・各種フルーツ(バナナ、りんご、アプリコット、西洋梨など)

私は事前に夕食がほぼなしと知っていたので、得に驚きもしませんでした。ですが、食事が大好きな方にとっては、別の意味でも修行になるかもしれません。ドイツ人が大好きな肉も乳製品もないですしね。スパイスや魚もないし。

個人的には食事の時間が毎日楽しみで、得にランチメニューは、ミュンヘン市内のビーガンレストランで普通に15-20€はするようなクオリティの高さで感動しました。また、宿泊施設自体がそもそもオーガニック商品をたくさん取り入れていたので、ハーブティはオーガニックでした。野菜や果物などもオーガニックのものも使われていたと思います。

私は小麦粉にアレルギーがあるので、パン含めグルテンの入っている食品は食べませんでしたが、考慮されているようで、ランチメニューの中にグルテンが入っているサイドメニューは1度しかありませんでした。(パンコーナーには、グルテンフリー食品の一つ、ライスワッフルも置かれていました)※事前にアレルギーの自己申告をする必要あり。

2回目以上の参加者においては、夜の食事は「お茶のみ」を推奨されているので、若い参加者の方たちは温かいお茶をマイボトルに大量についで、翌朝までの空腹を凌いでいるように見えました。(これも煩悩の現れなのかと思いますが)

初参加の私は、基本的に普段から1日2食習慣なのと、瞑想合宿中は一日中ほとんど目を閉じて座っているだけなので、夜は空腹にならず全く問題がなかったです。

日本での合宿だったら、お味噌汁とかお魚とか食事に出るのでしょうか。(大豆アレルギーがある参加者がいれば、少ないかもしれませんが)

ただ、いくらドイツ生活が10年を超えているとは言えど、それでも6日目くらいに無性にお味噌汁を飲みたくはなりましたが・・。

ドイツのヴィパッサナー瞑想に参加したい!参加費と申込方法について

ここまで読んで興味の湧いた方は、参加費や申込方法が気になりますよね。

▶︎全世界のロケーション一覧

ヴィパッサナー瞑想合宿は、実は世界中どこでも受けることが可能です。ドイツでも、日本でも、欧州全土、欧米、オセアニア、アジア、大体どこの国にも1つはあります。(ロケーション確認ページ)※ドイツはWestern Europeのグループにあります。私が参加した場所は、Triebelにあるメインの瞑想センターではなく、バイエルン州南部にあるユースホステルJugendhaus Berghof Berg です。(マップ

▶︎参加費

驚くことに、参加費は「無料」です。

10日間も素晴らしい教えと暖かい宿、おまけに美味しい手作りの食事が提供されるのに、です。全世界の瞑想センターが無料、寄付で成り立っているそうです。

ドイツの瞑想合宿で若者が多かったのは、もしかしたらそれが理由?とふと思いましたが、情報過多の現代で自己を見つめたい大人は老若男女問わずなのでしょうね。

私ももちろん寄付をしました。チラッと会計簿が目に入ってしまったのですが、参加者の皆様は最低100€以上寄付されていました。(現金手渡しの場合は、担当の方が目の前でノートに書き込んでいるため、他の人がいくら寄付したのか見えてしまう・・)

あとは振込での寄付も可能ですので、毎月少しずつ送金される方もいらっしゃるし、それも個人の自由。寄付ができない状況の方は、最終日に片付けやお掃除など、全完了するようなボランティア活動でも良いのです。人それぞれ状況が違うので、他人と比べる必要はありません。寄付金で皆平等にヴィパッサナー瞑想を学ぶ機会が得られているのです。特に、長年学ぶ方の中にはヴィパッサナー瞑想をしたことで心の富を得た富裕層も多くいらっしゃるようで、多額の寄付を行い、ある国の瞑想センターはモダンな作りで完全個室と聞きました。

▶︎申込方法

1)コース確認(←ドイツ国内)をして、参加希望日の申込開始日を確認。

2)申込開始日21:00−24:00の3時間のみになるので、その時間内でオンラインで申込を済ませる。

※注意事項全てを了承する必要がありますので、申込開始日までにホームページ記載の注意事項を一読しておくことを推奨します。(冒頭の厳しい戒律やヴィパッサナー瞑想についてです。恐らくせっかくのチャンスを棒に振って、途中で脱落する人を減らすためかとも思います。受けたい人は世界中でたくさんいますからね)

3)あとは連絡を待つのみ。

※通常、例えば100名枠に対して時期によっては200-300人の申込があるそうです。予定がすぐに分からない方もいらっしゃると思いますが、開催日近くになっての申込は長いウェイティングリストで空きを待つしかありません。ただウェイティングリストに載るだけだとしても、何人かの話のように、自分に必要な時に、必要な場所で、運よく参加できる不思議な巡り合わせが存在していると思います。

▶︎交通

現地に車で行くことが可能です。ミュンヘンからだと1時間ほどです。

最寄りの駅まで電車で来られる方は、センターのボランティアの方が車で迎えてに来てくれます。または、参加者同士の相乗りも。

▶︎その他

  • 瞑想時間は先生が前方に鎮座していますが、講和の時間同様、グループ瞑想に使われるものは生前のゴエンカ氏のオーディオです(瞑想時間の際は最初と最後の数分だけ)。ゴエンカ氏の英語の説明の後に、ドイツ語の翻訳ナレーションオーディオが流れます。ドイツ語を流暢に話せればそれにこしたことはないですが、B1レベル程度だと厳しいです。テクニカルな話や仏教の教えなどもあるためです。

英語においても流暢に話せれば大きな問題はないかと思いますが、それでも私のように英語もドイツ語も中級の方ですと、普段の生活であまり使わない専門用語が多々出てくるので、その時はキーワードを日本語翻訳してもらうよう、マネージャーに依頼してみましょう。

  • 講和は日本語オーディオもあります。ボランティアで参加されているヘルパーの方々の中には、それを知らない方もいらっしゃると思うので、コース開始前に事前にメールで確認することをおすすめします。私の場合、マネージャーと先生に毎日質問していたせいか、日本語の講話を探してくれ、5日目からは講話の時間は一人だけ別室で、日本語の講話オーディオを聞きました。

最初の数日間、ゴエンカ氏の英語がよく分からない箇所がありモヤモヤしていたので、日本語で聞くことによりかなり深いところまで知る機会を持てました。ちなみに、講話の日本語オーディオはドイツ語よりも英語よりも若干長いので、あとのスケジュールへの影響を最小限に抑えるため、私だけ早めに講話をスタートさせていました。ドイツ語、英語、日本語以外の翻訳オーディオはあるので、母国語が違う方は事前に確認してみてください。

  • 瞑想時間前後、講話後は、ゴエンカ氏によるマントラが唱えられるので、話し方やマントラに抵抗を感じる方もいるかもしれません。

マントラの最後にサンスクリット語だと思いますが、「幸せなりますように」と3回唱えられます。その後に参加者が「サードウ(同意します)」と3回唱えています。唱和したくない方はする必要はありません。私はしませんでした。

  • 10日間の瞑想を終えると、瞑想を深めるためのアプリがダウンロードできます。日本語で講話を再受講できるので、当時は意味不明だったことを、何度か聞いて腑に落ちました。

ドイツのヴィパッサナー瞑想合宿に持って行った便利品(備忘録)

備忘録がてら、今回の瞑想合宿で持っていってよかったもの、持っていったらよかったものを書いておこうと思います。

  1. 薄手の毛布 (天気の良い日は芝生に広げて寝転べる。天気の悪い気温が低い日は防寒になる。瞑想時のクッションの代わりにも)
  2. トレッキングシューズ (持ち物リストに記載してありますが、本当にあった方が良い。寒暖の差が激しいのと悪天候の日の芝生の散歩は、サンダルやスニーカーだと汚れるので、きちんとしたトレッキングシューズがあると、暇で手持ちぶたさな休憩時間も散歩ができて安心。)
  3. 洗濯を干す様の紐またはハンガー (4人で1部屋をシェアした場合、ハンガー数に限りがある。バルコニーのついている部屋なら柵に洗濯ひもをくくりつけて洗濯を干すスペースを確保できる。)
  4. 洗濯バサミ (何かと便利だった)
  5. 速乾タオル (大中小サイズ。とにかく洗ってもすぐに乾く上に、小サイズはナイトテーブルに置いたランプシェードにかぶせて光の調整ができた。)
  6. 懐中電灯 (ミニサイズ。夜の瞑想後は先生への質問終了時間が長引いて部屋に戻ると、早々に眠っているルームメイトもいるので、部屋の電気をつけるのがはばかられる。手元に小さな懐中電灯を持っておくと、消灯後の部屋でも足元や手元を照らせる)
  7. 洗濯洗剤 (シートの洗濯洗剤を持っていったけど、かさばらずめちゃ便利だった。)
  8. 枕 (枕難民の方は、自宅から使い慣れた枕持参をお勧めします。私はドイツのふかふか枕だと不眠ストレスになるので、どこへ行くにもマイ枕を持って行っています)
  9. 薄手の大判スカーフ (農場と併設しているので夏場はハエが多い。瞑想中のハエの存在は神経を逆撫でします・・。よってスカーフを頭からすっぽり被って顔と頭をカバーして、瞑想に集中できました。寒い日は防寒、暑い日は芝生に敷いて寝転がっている人もいました)
  10. 小型のマイバッグ (シャワーを浴びる時に、着替えやスキンケア一式など全て入れてバスルームに行けて便利)
  11. 日焼け止め (休憩時間はとにかく散歩か芝生に寝転ぶかしていたので、夏場は必須です)
  12. レインジャケット (天気が多少悪くても散歩に行ける。特に4人部屋にこもるよりかは外にいたい方)
  13. 小さい薄手のフリース毛布 (1の毛布とは別。寒い日は腰回りに巻いて散歩、天候が多少悪くてベンチが濡れていてもその上に座ってぼーっとできた。瞑想中のクッション代わりにもなってめちゃ便利だった)
  14. 瞑想用クッション (瞑想センターにも用意されているけれど、数に限りがあるのと、使い慣れているものがあればそちらの方が良い)
  15. ステンレス水筒 (暑い日は飲料水を保冷、寒い日は温かいお茶を保温できて便利)
  16. 湯たんぽ (冬場なら絶対持っていくと思う)
  17. 靴下 (猛暑とはいえ、夏場でも寒暖差が15度以上ある日もあるので、朝夕は冷える。裸足慣れしている人は忘れずに)
  18. 虫除けランプ (コンセントに差すだけのタイプ。蚊に敏感な人は特に)
  19. 旅行用の小さいハンドソープ (部屋にハンドソープがないので、私は旅行サイズの小さいベビーシャンプーをハンドソープ代わりに使っていました)
  20. 着替えは3-5日分で充分かも。(手洗いで夏場はすぐ乾く)
  21. 生理用品は多めが良いかも。
  22. 目薬や虫刺され用のクリームなど。(一日中目を閉じているから目薬不要かと思いましたが、必要でした)

最後に(瞑想合宿を終えての感想)

ドイツでの瞑想10日間合宿レポ、いかがでしたでしょうか。

終了後数週間経過しますが、今ではあれほど困難だった早起きができるようになり、ほぼ毎朝30-60分の瞑想時間をとっています。

仕事の生産性が上がり、悶々と取り組んでいた仕事に対して、再度きちんと向き合うことができました。そして、時間の使い方や生活クオリティの向上を感じています。

私が15年越しの夢を叶え、10日間ひたすら自分の内側を見つめて得たものは、計り知れない価値のある経験・気づきでした。

デジタルデトックスを10日間もできたこと、そして、それがこれほどまでに解放的であることに驚きました。

また、休憩時間には、芝生に寝転び、青い空を仰ぎ、木々の上でさえずる小鳥たちの鳴き声にただ耳を傾け平和に時間を過ごすことの幸せ。

BGMには、柵の外で草をはむ子羊たちの鳴き声を聞きながら、そよ風で揺れる木々の葉が心地の良い音を奏でるのです。

満点の星空を眺めながら瞑想ホールに向かう早朝から始まり、1日の終わりには、赤く燃える大きな夕日をただ佇んで眺める贅沢な時間。

ありがたいことに話すことは禁止だから、面倒極まりないドイツ語でのコミュニケーションによるストレスやプレッシャーもありません。

瞑想合宿の日々では、今までの自分を振り返ることもできました。

今まで、どれだけ頑張って働いてきたことか。

どれだけ自分を後回しにして、子どものためにベストを尽くしてきたことか。

そして、いくつかの人間関係においてどれだけ自分に無理をしてきたことか。

掃除も洗濯も料理も仕事も、日々の雑用もペーパーワークも、勉強もSNSも、子育てからも、日常の責任から解放された10日間は、文字通り自分への大きなギフトでした。

ある人にとっては、この瞑想合宿が苦痛や拷問以外の何ものでもないと思います。特に普段の生活において、自分自身を律することが難しい方においては、苦行です。

でも私にとって日常生活の何もかもから解放された、贅沢この上ない10日間は、自分自身の心の癖や思考を、客観的に見ることもできた貴重な時間でした。

まだ、心の奥底までには到達してはいませんが、深い瞑想で感じた、心の底に静かに存在した平和や満ち足りた感覚は、忘れられません。

引き続き、ライフワークとして続けて行きたいと思っています。

この情報が、必要な方に届きますように。

-ドイツの生活