日本とは全く異なる文化圏での、長い海外生活。
国際結婚や就職、学業やフリーランスなど、移住理由は人それぞれかと思います。
しかし自分で選択して移住したものの、日本での生活と全く違う生活文化や、言語の壁に悩む人も多いのではないでしょうか。
かくいう私は、プロフィールにも掲載しておりますが、ドイツと日本で国際別居後、国際離婚が成立したものの、5年後には娘と一緒にドイツへ再移住したという、ちょっと変わった選択をしています。
再移住する前には、ドイツのことを好きになろう、楽しもう、そして新しい生活に挑戦しようと腹をくくっていました。そうして、ドイツでの子育てや個人事業主生活もそれなりに楽しんできて、来月で再移住丸10年を迎えます。
そんな私ですが、過去10年の間に「燃え尽き症候群(バーンアウト)」なるものを自覚したことが、記憶を辿ると2回はあります。(日本では1回)
直近の経験を振り返りながら、今回は私の対処法を含めて書こうと思います。
「燃え尽き症候群」かも?体と心の症状を見逃さないで。
まずは、「燃え尽き症候群」の症状はどんなものなのでしょうか。
私の経験で言うと、ある日突然「体がなまりのように重たくなり、ベッドから起き上がれなくなる」ことでした。
副業時代を入れれば起業(輸出業)して9年、ほぼ毎日休まず仕事をしていました。
個人事業主あるあるかもしれませんが、最初は自分でできるところは、総務・経理・事務・営業・販売・顧客サービスの全てをこなしがちです。
また、幸か不幸か日本でそれらの仕事をした経験があっただけに、わりとすぐに慣れて全てをこなすことができていました。
日頃必要なドイツ語翻訳作業においても、google翻訳やPCのシステムをフル活用して行っていました。
就労者の人権が堅く守られているドイツでは、雇用に関する経費が高く、スモールビジネスを行う個人事業主は、経費削減のために自分で事務作業を行ってしまうのです。ドイツに限らず日本でも、日頃の売上確保のプレッシャーも重なり、事業によってはコロナ禍による売り上げ減少で、ストレスが増長された方も多かったかと思います。
そうして、喫煙や飲酒の量が増え、職業によるかもしれませんが、コロナ禍ではドラッグユーザーも増えたと、先日ドイツのラジオニュースで聞きました。
私個人にいたっては、元々体質に合わないので喫煙・飲酒・カフェイン摂取はしないので(もちろんドラッグもしません)、周囲がわかるほど心身への変化がありませんでした。しかし、コロナ禍の売上好調のおかげで仕事量が大幅に増え、それに加えて将来の子どもの教育資金や、パートナーシップでのストレスも重なり、見えない疲労度は最高潮に達していました。
そうして ある日突然体がなまりのように重たくなり、ベッドから起き上がれなくなったのです。 これは過去に一度もない、初めての経験でした。
休みたくても休めないと思い込んで疲労困憊の方や、ストレス緩和のために喫煙量や飲酒量が増えた方は、要注意です。
「燃え尽き症候群」になってしまったらすること。最初の対処法。
ドイツに住んでいたら、かかりつけの「家庭医」があります。Hausarzt(ハウスアルツト)と言って、何か健康上に問題を感じた時に、一番最初に診てもらうドクターです。もし信頼できるかかりつけの家庭医がいらっしゃる方は、まずはそちらへ行ってみてくださいね。
私の場合、今まで大病を患ったこともなく、健康被害だと明言されている生活習慣などもなかったため、そもそも病気にかかることがなかったのですね。また、数年前に現在の土地に引越しをしたのもあり、信頼できるKinderarzt(小児科医)は一番先に見つけましたが、特に急を要さなかったのでHausarztについては探しませんでした。
そのため、軽い風邪の時にはアポテケ(Apotheke・薬局)でホメオパシー(Homöopathie・自然派の薬、同種療法)を処方してもらい、定期的にしていた血液検査は近所の自然療法院で行っていました。
当時、コロナではないと分かっていたので、仕事に支障が出ることを避けるため、原因究明のためにまずは日本人ドクターの元へ健康診断へ行きました。このときは、まだ「燃え尽き症候群」だと自覚していませんでした。
ちなみに、個人事業主だと自分が療養していても、ドイツでの会社員のように有給の療養休暇などないため、最短・最速で原因を突き止める必要があると思っています。
※私の場合Private保険なので、受診できるドクターの幅が広いです。ただ、Private保険は加入内容や加入期間によってカバーされる範囲が違うので、該当される方は、事前に保険会社に確認してください。健康診断の受診料は内容や地域にもよりますが、大体500-800€前後かと思います。私の場合は、フルカバーではなかったのですが、必要経費と思っています。
海外在住歴が長いものの、疲労困憊な上に万が一何かあったらやはり母国語で知りたいので、日本人ドクターのところで受診して良かったです。ちょうど2年ぶりだったので、気になっていた部分についても診てもらえたことで安心しました。
そうして、臓器が綺麗で問題がなく健康上の問題はゼロ、というのが分かり一安心しました。
それと同時期に、かねてから興味のあったドイツ製の家庭用波動調整器を入手することができ、現在は定期的に体の波動調整をしています。
「燃え尽き症候群」に一番必要なことは休むこと!
健康診断で全く問題がないとわかり、ベッドから起き上がれなかった原因は「心」にあると確信しました。
そうして心の声と体の声を聴くようにしたら、きちんと「休みたい」と言っているのですよね。全ての責務やしがらみから解放されて休みたい、とわかっていたのです。でも目の前のやるべきことリストを片づけるべく、どこか心の声をおきざりにしていたのです。「休む?そんなこと今はできないよ」と。
しかしその後「休む」ことを続けていたら、自ずとストレスの原因だった不要なものが明確になり順に手放すことができました。
それは、あなたの「思い込み」かもしれませんし、「人間関係」かもしれません。マインド整理を邪魔する雑然とした「モノ」かもしれません。
子どもが学校へ行っている間に2時間くらい仕事をして、あとはソファやベッドに横になることに最初は罪悪感や焦燥感を感じました。
しかし、「休む」ことが一つのやるべきこと「タスク」として捉えれば、健康な生命維持活動には必要なことなのです。
ここで気を付けたいのは、気分転換のために旅行をしたり、新しい人と関わったり、未知なる経験をしようとすることは避けた方が良いです。
なぜなら、心も体もきちんと休まっていないのに上記のようなことをすると、動き回って疲れるばかりか、繊細さん(highly sensitive person-HSP)体質の方は余計神経をすり減らすだけで、悪循環です。また、「自分をみつめる」ことを後回しにすることになるので、また同じことの繰り返しになります。
もっとも「燃え尽き症候群」だと、基本的に上記のような行動をするほどの力は残っていないのですが。
まとめ
事業者やシングルマザーに限らず、ワンオペ育児中やワーママさん、介護中の方、責任ある仕事を任されてプレッシャーに押しつぶされそうな方、日頃ストレスを抱えて仕事に忙殺されている方など、燃え尽き症候群予備軍の方は日常にあふれています。ある調査だと、ドイツ人の2人に1人は「燃え尽き症候群」予備軍だそうです。
本当に、私たちはよく頑張っています。休みたいのに休めない状況で、本当によく頑張っているのです。
そんな自分を、是非労ってあげてくださいね。
無理なんか本来しなくても良いのです。我慢なんてする必要はないのです。毎日100%以上の力で頑張っているのだから。
あなたがあなた自身を大切にすることができたなら、他人や家族や友人を、本当の意味で大切にすることができます。
私は「休む」ことで、それまで抱えていたストレスの原因について見つめることができました。
それは、本来の「自分らしさ」につながる作業でもありました。今は大分状況が改善されて、幸せです。
私のように、公私共にストレスを抱えて仕事をし続けている方は特に、休むことを意識してみましょう。
「休む」ことが、本来の「自分を見つめる」作業になるはずなので、状況が変わる助けになると思います。